第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター15群 せん妄の看護

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:原田 路可

[ポスターM-15-3] 緊急入院した高齢者に発症した低活動性せん妄への看護介入に関する事例報告

-生活リズム観察表を用いた生活リズムと環境調整-

山崎 早苗, 工藤 美美, 小栗 智美 (日本医科大学付属病院)

Keywords:高齢緊急入院、環境調整、生活リズム、低活動性せん妄

【抄録】
【目的】高齢者の入院では療養環境から受ける影響は大きく生活リズムと環境調整が必要である。緊急入院され、低活動性せん妄を起こしていた高齢者に提供した看護実践の中で、多職種と協働し生活リズム観察表1)を用いたA 氏の生活リズムと環境調整の実際を記述する。【方法】研究デザインはケアの意味を見つめる事例研究である。入院から退院までの記録から看護実践内容を文章化した。実践内容を生活リズムと環境に焦点をあて、ワークシートを作成し類似する看護実践をカテゴリー化した。本研究はA 病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。研究への参加は自由意志であり同意撤回が可能であること、個人が特定されないようにプライバシーを保護する等をA 氏の家族へ説明し文書にて同意を得た。【結果】事例の概要はA 氏80 歳代女性、大腸がんの診断にて緊急入院となった。入院前より認知機能の低下を認め入院時より低活動性せん妄を発症していた。入院から退院までを1. ケアに試行錯誤した時期2.A 氏の反応が見られケアが確立した時期3.A 氏の時間軸に合わせた生活リズムの調整と継続を検討した時期に分けた。看護実践は1)~ 3)のカテゴリーに分類した。1)A 氏にとって抑制の意味をケアを通じて考え方法を見直し続けるでは、安全のため抑制を行っていたがA 氏の行動が見え抑制の方法と内容を変更しチームで治療方針を再検討した。後に点滴を自己抜針しA氏が同意した期間限定のミトンを装着し関わり自己抜去を予防した。2)A 氏らしさが見える療養環境を多職種と創造するために、入院前のいつもの生活を家族と共に取り入れ認知症ケアチームと一緒に状況を整理し見直した。生活リズム観察表を用いて1 日の生活の流れ、気分、活動の状態を時系列に記入し、それから病院でのいつもの生活を造り、A 氏のこだわりを生活リズムに合わせた環境に調整した。3)A 氏の反応からケア内容を変えることで可能になった意思表明支援では、A 氏の一瞬の反応を見逃さずA 氏の欲求を受け止めたケアを取り入れ継続し日々の意思表示から治療とケアを考えた在宅調整後に自宅退院となった。【考察】生活リズム観察表を活用し活動を高めても良い時間、悪い時間を見極め多職種と協働しチームとして取り組むことでA 氏の療養環境を創造することができたと考えられた。1)高齢者の生活機能再獲得のためのケアプロトコール中島紀惠子:日本看護協会出版会