第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター15群 せん妄の看護

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:原田 路可

[ポスターM-15-4] せん妄発見するためのキーパーソンに対するSQiD の実証

赤木 美香, 藤崎 彩, 小島 尚文, 渡邉 朋子 (佐世保共済病院)

キーワード:せん妄、キーパーソン、スクリーニング

【抄録】
【目的】B 病棟で実施している日本語版Intensive Care Delirium Screening Checklist( 以下、ICDSC) と、患者の普段の様子を把握しているキーパーソンに実施するSingle Question in Delirium(以下、SQiD)を併用することでせん妄の早期発見につながるのかを実証する。【方法】調査期間20XX 年2 月~ 3 月。対象は即日入院となった患者とそのキーパーソン、病棟看護師23 名(師長除く)。担当看護師が患者にICDSC を入院日から1 週間、2 回/ 日(6 時・16 時)実施する。キーパーソンには入院後7 日以内の初回面談時にSQiD「いつもと様子が違いますか?」を1 回のみ質問する。ICDSC とSQiD の結果を単純集計する。研究対象者には、研究目的、参加は自由意志、参加の有無による不利益はないことを病棟内に掲示することで同意とした。【結果】対象者52名中ICDSC とSQiD を実施できたのは13 名で、ICDSC4 点以上はいなかった。SQiD でせん妄と評価されたのは2 名であった。症例K はICDSC「注意力欠如」で1 点となり、同じ質問を繰り返していた。症例M はICDSC「注意力欠如」「失見当識」「不適切な会話あるいは情緒」で3 点となり、入院前は自立していた排泄行動が入院後はオムツに失禁したり、気づかないこともあった。キーパーソンは「心なしか元気がない」と回答した。【考察】注意の障害はせん妄患者の97%に見られ、初期症状とされている。今回ICDSC とSQiD を実施できた13 名はICDSC ではせん妄と評価されなかった。即日入院の場合、看護師は患者の病状把握や検査・治療を優先する。今回の研究では入院前の患者情報をせん妄発見のデータと捉え、SQiD で2 名のキーパーソンの回答から患者の変化を知り、せん妄を捉えることができた。研究開始直後から新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより面会制限となった。今回の2 つの症例からではあるが、患者の普段の様子を知るキーパーソンの情報はせん妄発見に有益であった。面会制限が続いているが、家族から普段の患者の様子を積極的に情報収集することと、看護師から入院中の様子を家族に報告し、情報共有することはせん妄の早期発見と、効果的なせん妄ケアの実施につながるのではないかと考える。