第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター16群 健やかに生まれ・育つことへの支援

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:髙松 いと子

[ポスターM-16-2] NICU・GCU における退院パンフレットの有用性と育児不安の現状

-退院時と初回外来受診時の調査から-

木村 みずき, 齋藤 友実, 中村 優花, 吉村 美智代 (春日部市立医療センター)

キーワード:NICU、退院指導、GCU、育児指導、育児不安

【抄録】
【目的】退院パンフレットの有用性と児の退院時、初回外来受診時の母親の育児不安の現状を明らかにする。【方法】A病院のNICU・GCU を退院した児の母親を対象に自記式質問紙法調査を行った。選択回答項目は単純集計、自記式回答項目は類似している記述内容で分類した。【結果】全項目を通して、パンフレットが「参考になった」「少し参考になった」は、初産婦で退院時95.6%、外来時100%、経産婦で退院時100%、外来時97.6%であった。自記式回答項目では初産婦・経産婦ともに「授乳に対する不安」が15 件と最も多く、「母乳が出ているのか、足りているのか不安」「うまく授乳ができるのか不安」等の記載があった。初産婦では、「睡眠時、啼泣時の対応・不安」が5 件あり、「夜寝てくれなかったり、体をのけぞって大泣きしていると少し慌ててしまった」等の記載があった。【考察】選択回答項目の結果では、「参考になった」「少し参考になった」が95%以上であり、パンフレットは参考になったことがわかった。しかし、自記式回答項目で不安の記載があり、有用性があるとまでは言いきれない。不安が多かった項目の原因として以下のことが考えられる。「授乳に対する不安」の原因は、児の入院中に母児同室以外では母親自身で哺乳量や授乳間隔を自分で判断する機会がないこと、面会時間が限られているため直接母乳を練習する機会が少ないこと、経産婦の場合も同胞とは哺乳力が違い直接母乳の確立が難しいことが考えられる。また、「睡眠時、啼泣時の対応・不安」の原因についても、初産婦は短い面会時間で児の啼泣時の対応を習得することは難しいため、退院後に児が啼泣した際に慌ててしまい理由の探索と対応ができず不安が生じていると考える。これらの不安に対してパンフレットの内容が対応できていないため、不安の軽減に繋がらなかったと考えられる。このことから、一般的な内容しか記載されていないパンフレットの説明や面会時の育児手技の練習だけでは児のリズムに合わせた授乳育児行動の習得は難しいと言える。そのため、母親が児のリズムに合わせた授乳育児行動の習得ができるように、日々のカンファレンスで指導方針を検討し、スタッフ間で統一した指導を行っていく必要がある。今回の研究で得た結果から、退院後1 か月程度で起こりうることについて検討し、パンフレットの再編成をする必要がある。