第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター16群 健やかに生まれ・育つことへの支援

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:髙松 いと子

[ポスターM-16-3] EPDS を用いた母親の産後うつに関する背景要因の検討

中島 恵梨1, 富川 衣里子1, 相澤 舞衣1, 藤田 恭子1, 稲村 尚子1, 塚原 節子2 (1.黒部市民病院, 2.東京医療学院大学保健医療学部看護学科)

Keywords:産後うつ、EPDS、2 週間健診

【抄録】
【目的】A 病院におけるエジンバラ産後うつ病自己評価表(以下EPDS)が高値となる母親の背景要因を明らかにする。【方法】研究の趣旨とデータの厳重管理及び研究参加への自由意思、学会や論文投稿の可能性について説明し同意の得られたA 病院で令和3 年6 月~令和3 年9 月に分娩を終え、2 週間健診時にEPDS によるスクリーニングをうけた褥婦130 名を対象とし、産後2 週間健診時に調査したEPDS を集計した。先行研究をもとに産後うつのリスク因子となりうる対象の背景情報をカルテから収集し、SPSS Statistics26 を用いて分析した。【結果】分娩回数が少ないほどEPDS が高値になる傾向がみられ、精神疾患既往、母体搬送、保健センター連絡有りの者のEPDS が高く、児の先天性疾患有りの者はEPDSが低かった。【考察】先行研究と比較し、A 病院では平均年齢の割にEPDS 高得点の割合は少ない傾向にあった。B 県は地方にあり、早く結婚し子供を産む人が多く、平均年齢は若いが経産婦が多い。対象者の親も若いため支援が得られやすい状況にあることも、EPDS が低くなった要因と推測された。また初産婦では、初めての育児に戸惑い、抑うつ感情が高まりやすいため経産婦よりEPDS の得点が高値となったと考えられた。精神疾患合併の母親はより不調をきたしやすく、育児に対する困難感が増強したと考えられ、母親のペースに合わせ母子同室を行うことや、家族のケアも行っていく必要がある。母体搬送となった母親は医療者との信頼関係も築けず出産となるため、妊娠や分娩の経過や結果を母親自身が肯定的に捉えられるよう振り返りの時間が必要であると考える。保健センターへ連絡した母親は、低出生体重児や精神疾患合併の母親など県で連絡する決まりとなっている母親、また助産師が性格的に育児不安が高いと感じた母親,育児支援が少なく母親の負担が大きいと感じた母親であり、入院中の観察からEPDS が高値となるのではないかとの予測は、ある程度一致していたと推測された。今後も地域と連携し包括的に母親を支えていくことが重要と考える。また児の先天性疾患を有した母親のEPDS は低い結果であり、本研究で該当した先天性疾患は合併症がなく、完治が望める疾患であったため2週間健診時には治療の見通しが立ち、疾患に対する受け入れが良好であったことが結果に影響したと考えられた。