第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター16群 健やかに生まれ・育つことへの支援

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:髙松 いと子

[ポスターM-16-5] 急性期の小児病棟に長期入院している難治性ネフローゼ症候群の幼児前期の子どもへのかかわり

和泉 愛, 上野 麻衣, 塚越 さや香 (順天堂大学医学部附属練馬病院)

キーワード:幼児前期、ネフローゼ症候群、長期入院、小児病棟

【抄録】
【目的】ネフローゼ症候群の治療のため繰り返される採血や点滴挿入、ベッド上安静・感染予防のための遊びや面会制限は、子どもや家族にとってストレスとなる。さらに長期の入院や安静は、子どもの心身の成長発達に影響を及ぼす。また、ケアにあたる看護師の精神的負担も大きい。そこで、急性期の小児病棟に長期入院する難治性ネフローゼ症候群の幼児前期の子どもへのかかわりを明らかにし、よりよい看護実践に繋げたいと考えた。【方法】⑴研究実施期間:2021 年6 月~ 9 月⑵研究デザイン:質的記述的研究⑶研究参加者:急性期小児病棟に長期入院する難治性ネフローゼ症候群の幼児前期の子どもへかかわった小児看護経験5 年以上の看護師8 名⑷研究方法:半構成的面接⑸分析方法:面接内容を逐語録にし、テーマ化し分析した⑹倫理的配慮:所属施設の病院倫理委員会(倫‐ 2021001)で承認を得た【結果】4 つのテーマが導き出された。⑴看護師はネフローゼの治療による様々な行動制限がある中でも、子どもの発達を促し、看護師や家族との愛着形成に努めていた⑵看護師は、子どもが受け入れてやらねばならないネフローゼの治療やケアについて、本人が納得できるまで向き合い相談することで、拒否なくケアに参加できるよう調整していた⑶子どもがネフローゼの長期入院によるさみしさや、ケアの繰り返しによるストレスから、処置などの拒否が激しかった時、看護師が介入し家族とつないでいた⑷看護師は、子どもと共に長期入院を歩めるよう学生と過ごす時間をつくり、好きなものを入院生活に取り入れて普段の生活を崩さないようにしていた【考察】看護師は、ネフローゼの治療により家族と離れている子どもの権利を守るだけでなく、普段なら親が行う抱っこ・頭をなでる等のスキンシップをして子どもと愛着を築き、親代わりとしてかかわることで成長発達を促した。さらに、個別性のある方法で説明しケアへの参加を促すことで、子どもが自らケアを決定でき、子どもの説明を受ける権利、意思を表明し自己決定する権利が守られていた。それが、子どもがネフローゼ症候群と向き合うことやセルフケアに繋がった。また、看護師が疾患・病態とともに幼児前期の患者全体を捉え、家族と子どもの調整役を果たしながら普段の生活を崩さないようにできたことが、子どものストレスを軽減し前向きな入院生活に繋がった。