第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター16群 健やかに生まれ・育つことへの支援

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:髙松 いと子

[ポスターM-16-6] 手術翌日に退院した児の家族が1 週間で抱える不安・困難感と対処行動

菊地 茉莉亜, 伊藤 有花 (川口市立医療センター)

キーワード:小児外科、短期入院、家族看護、退院後の不安

【抄録】
【目的】手術翌日に退院する小児外科入院では、退院後は児・家族と病棟看護師が関わる機会がない。そのため退院後1 週間で児の家族が抱える不安や困難感と対処行動を明らかにする。【方法】対象は2021 年6 ~ 10 月に小児外科2 泊3 日(鼠径ヘルニア・臍ヘルニア・陰嚢水腫・停留精巣)にて入院した児の家族33 名。退院時にパンフレットを用いて傷口の処置・運動・通園通学について指導を実施し、質問紙を渡した。研究への参加は自由意志とし、質問紙の提出をもって同意とした。情報は個人を特定できないよう処理し、協力を拒否した場合でも診療上の不利益がないことを説明した。質問内容は児の年齢、退院後の不安や困難感の有無・内容、対処行動をとれたか、対処行動の内容、対処に困った理由、詳しく説明してほしかった内容の7 項目。回答内容を単純集計。一部自由記載とし類似する内容をカテゴリー化した。【結果】「退院後の生活を送る中で不安を感じたか」の質問では16 名(48%)が「不安を感じた」と回答し、幼児期前期が63% と最も割合が高く、学童期は13% と低い割合であった。不安の内容は複数回答可とし「傷口について」が約7 割、次いで「運動について」「シャワーについて」となった。不安時にとった対処行動についての質問では、「対処できた」と回答した15 名のうち、6 件が「退院の説明を思い出した」、3 件が「退院パンフレットを見た」、7 件が「家族と相談した」、3 件が「ネット・本で調べた」と回答した。対処行動として退院指導や退院パンフレットを参考とした家族は約4 割、その他の情報を参考とした家族は約6 割であった。【考察】幼児期前期は危機的状況を回避するためには周囲の協力が必要なため、家族が不安を感じる割合が高かったと考える。学童期は理解力が発達する段階であり、児が自ら対処行動をとれるため、家族が不安を感じる割合が低かったと考える。家族が不安の増強なく日常生活を送ることができるよう、今後は児の発達段階に合わせた個別性のある指導を検討する必要がある。また、現在の退院指導や退院パンフレットを半数以上の家族は活用していなかった。適切な指導が実施できない場合、家族の自己判断やインターネットの情報から誤った方法で対処する可能性があるため、退院指導内容や退院パンフレットを見直していく必要がある。