第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター17群 看護教育~看護実践能力~

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:渡辺 尚子

[ポスターM-17-1] 看護実践能力の向上を目指したキャリア開発ラダーモデルプログラムの導入

-評価表の実践から見えたレベル3 教育の課題-

岡本 知子, 高柳 弥生, 福井 佳重, 石塚 かおる, 大河内 由貴, 若宮 智美, 市川 幸子 (菊川市立総合病院)

Keywords:臨床実践能力評価、キャリアラダー、アクションリサーチ

【抄録】
【目的】看護師のキャリア開発ラダー(以下ラダー)の臨床実践能力は、看護ケア実践・マネジメント・教育研究・人間関係の4 領域で構成される。自施設ラダーのないA 病院の教育体制は新人から3 年目の経年研修が中心であり、中堅看護師への集合教育が少ない。2020 年にラダー導入のため委員会を新設し、個々の看護実践能力の把握のために臨床実践能力評価表(以下評価表)を用いた。レベル3 評価から得られた実態と課題について報告する。【方法】2020 年5 月から師長を中心に7 名で月2 回の会議を行った。予め評価に差が無いよう評価表の基準や解釈を取り決めた「用語の定義」を作成した。9 月にリーダーシップ力を判断基準に全職員195名をレベル1:67 人、レベル3:125 人の2 段階に暫定的に振り分けし、11 月評価表の自己評価・師長による他者評価を施行した。レベル3 対象者125 人のうち管理職6 名を除く119 名の評価表をエクセル集計し、0 点(できない)・1 点(支援があればできる)・2 点(できる)の割合から現状の課題を抽出した。【結果】評価表の4 領域50 項目(計100 点)各6 割以上を合格とした。合格は84 人、総合点が6 割以下の不合格は5 人であった。領域の一部が6 割以下の不合格は計33 人で、領域はマネジメント力19 人・教育研究力23 人・人間関係力3 人であった。評価表で0 点の多い項目は、記録の監査11 人・勉強会の企画や運営28 人・看護研究の取り組み59 人であった。自己評価の点数には43 ~ 99 点と開きが見られた。自己評価の平均は72.2 点であった。また自己評価より他者評価が加点された人数は94 人(79%)、部署当たり平均加点は3 ~ 17 点であり、全体では平均8.6 点の加点であった。【考察】A 病院のラダーは基本となる臨床実践能力であるレベル3 を通り一定の臨床実践能力を目指すシステムとなった。自己評価は低めにつける傾向がみられたが、自分の看護実践能力を知る良い機会となった。また他者評価に部署間の差も見え、一定の基準であるか判断は難しかった。基準を保つため「用語の定義」の見直しを含め、実践に基づいた適正な評価を目指す。今後は暫定評価から5 段階評価への実施へつなげていく。評価表の自己評価の0・1 の項目への支援は、現場教育だけではなく、レベルに応じた対象者や内容を見直すことで新たな教育体制を構築していく必要がある。