第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

ポスター

ポスター17群 看護教育~看護実践能力~

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:渡辺 尚子

[ポスターM-17-4] 総合内科診療看護師の診療支援が病棟看護師の看護実践に与える影響

-入院時初期看護計画に焦点を当てて-

草薙 安毅 (東京都済生会中央病院)

Keywords:診療看護師、Nurse Practitioner、診療支援、入院時初期看護計画

【抄録】
【目的】総合内科の診療看護師(以下NP)の診療支援が、病棟看護師が立案する入院時初期看護計画に与える影響を明らかにし、NP の理解促進と一般看護師との連携・協働が促進される一助とする。【方法】1.対象:A 県のB 病院の総合内科に入院した患者。2.データ収集方法:調査票をもとに電子カルテより情報を得た。NP 介入群と非NP 介入群に分け、患者属性(性別、年齢、疾患)、観察項目(在院日数、初期看護計画立案数、立案時間、主病名に対する計画の有無および計画数、優先順位の適正性、総合評価)を収集した。3.介入方法:外来で問診・診察を実施、結果をもとに病棟看護師と情報共有を行い、患者の病態について質問を受けた。4.分析方法:統計ソフト「R」Ver3.4.4 for Windows を用いて有意確率5% 未満、患者属性は単純集計後、χ2検定を行った。NP の介入の影響は、相関分析およびロジスティック回帰分析を用いた。5.倫理的配慮:研究実施病院の倫理・臨床研究審査委員会の承認を得た。データ収集時は個人が特定されないように配慮した。【結果】対象患者は延べ229 名で、初期介入できなかった患者や転科した患者31 名を除き198 名を調査対象とし、両群各99 名であった。患者特性に有意差はなかった。観察項目は、立案時間と主病名に対する計画の有無および計画数、優先順位の適正性、総合評価に有意差を認めた。相関分析では、NP の診療支援は立案時間に対しては弱い負の相関、主病名に対する計画の有無および数に弱い正の相関、計画の適正性および総合評価に弱い正の相関を認めた。ロジスティック回帰分析は、NP の介入は立案時間と主病名に対する計画数に有意に影響した。【考察】先行研究では、情報収集の困難さの要因に「焦点の不明瞭さ」、「全体像を捉えるための情報不足」を挙げ、NP の介入により疾患の理解および観察項目に関する情報把握が容易となり「焦点の不明瞭さ」が解消され、短時間で主病名(症候・症状)に対する計画の立案となった。看護的視点の情報共有により患者の「全体像のための情報不足」が解消することで、療養生活上必要となる計画が立案され、優先順位の適切性や総合評価へつながったと考える。NP の診療支援は、病棟看護師の入院時初期看護計画の立案時間を短縮し、主病名に対する計画の立案を促し、適切な看護計画立案に影響している。