第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター17群 看護教育~看護実践能力~

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:渡辺 尚子

[ポスターM-17-6] 急性期医療機関における看護倫理研修の評価と今後の課題

橋本 理恵子1, 小島 範子2, 岐部 千鶴2 (1.関西医科大学看護学部, 2.大分中村病院)

キーワード:看護、倫理研修、急性期医療機関

【抄録】
【目的】A 病院では、看護専門職として倫理的課題に対する感受性を高め、倫理的課題を解決できる人材育成を目的に専門看護師による倫理研修を行っている。本研究の目的は取り組んできた看護倫理研修の評価と今後の課題を明らかにすることで倫理研修のあり方の示唆を得ることである。【方法】1.研修内容:事前課題として受講生が倫理的課題と感じた場面について記述してもらい、講義は事前課題を反映させた内容と倫理原則の理解、倫理的態度と倫理的ジレンマについて実施した。事例検討ではグループで身体拘束事例を活用した検討を実施した。2.研修参加者:A 病院看護師 3.分析方法:研修受講生のアンケート調査の自由記述内容の整理 4.倫理的配慮:A 病院倫理審査委員会の承認を得、参加者に文書と口頭で研究の目的、内容、匿名性、参加の自由意思について説明し同意を得た。【結果】受講生は2020 年23 名、2021年13 名で計36 名であった。ラダー別内訳はラダー1が9 名、ラダー2 が10 名、ラダー3 が6 名、ラダー4 以上が11 名であった。倫理研修評価は、受講生のアンケート、ならびに研修終了後のアクションプランを活用した。研修後のアンケート結果から、受講生の受講動機は、16 名(44.4%)が現場での倫理的課題の解決に活かしたいと回答し、18 名(50.0%)が今まで看護倫理について学んだことがあるが改めて学びたいと回答していた。33 名(91.6%)が今後の看護実践に活かせる研修だったと回答していた。身体拘束事例を活用した事例検討では、「マンパワーや安全を考えて抑制を選択することがあるが対象者の尊厳を大切にして多職種と最善の方法を検討していきたい」「医療者の価値で考えず患者や家族の意向を尊重していきたい」といった講義、事例検討での学びが反映された意見が聞かれた。アクションプランでは、「抑制しない看護を検討していきたい」といった目標が見いだせていた。【考察】アンケート結果から受講生が現場で活かせる内容であったといえる。研修に参加することで日常の看護実践をリフレクションする機会となっていると推測できる。今後は、PDCA サイクルを回すことで研修内容のアップデートを図るだけでなく、継続的に事例検討会を開催し事例を通して看護実践を検討する工夫をしていきたい。