第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター18群 セルフケア能力向上への支援

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:三木 幸代

[ポスターM-18-1] 痔疾患手術を受けた患者の心理と入院生活支援の検討

佐野 恵理子1, 清水 瑞穂1, 早田 陽子1, 坪田 恵子2 (1.不二越病院, 2.富山大学学術研究部医学系)

Keywords:痔疾患手術、入院生活支援、患者の思い

【抄録】
【目的】初めて痔疾患の手術を受ける患者が手術を終えてから退院後の生活についての思いや不安なことを明らかにする。【方法】対象は、A 病院に初めて痔疾患手術を受けた術後2-3 日目で事前に手術オリエンテーションを受けた13 名にインタビューを行った。得られたデータは意味内容から類似性・相違性を比較してカテゴリー化した。倫理的配慮では、A 病院の倫理審査委員会の承認を得た。プライバシーに配慮し個室で実施した。【結果】インタビューから、手術オリエンテーションで使用するパンフレットの情報提供より術前術後の経過、合併症、注意点など記載されていたことで、手術への不安軽減は図れていた。また、患者自身が治療や回復過程において自己効力感を持っていることもわかった。しかし、パンフレットに記載されていても看護師の説明不足によりイメージができず理解ができていなかったり、記載されていない内容に関して、術後から退院後の生活について、治療や回復過程に対する不安や疑問があることがわかった。多くの患者が仕事を持っており、職場周囲への理解が得られるのかの不安が聞かれた。痔は自分では目に見えない部位であり、羞恥心や恐怖感があることがわかった。痔疾患患者の特性から術中の手術体位や排便時の疼痛、退院後の排便コントロールや食生活の不安、見えない部位であるため創部が直視できない不安、触れることを怖がる患者もいた。これらより「痔疾患特有の手術侵襲からくる治癒までの不安」「痔疾患特有の治療や回復過程における疑問」などの6 つのカテゴリーが抽出され、「疾患・治癒に対する不安」「排便に対する不安」など17 つのサブカテゴリーが抽出された。【考察】パンフレットを用いた手術オリエンテーションは不安の軽減に繋がっていた。そして、羞恥心や恐怖感を払拭できるよう患者と術前にどれだけ向き合えるか、術前の関わり方が重要である。術後は退院後の生活を想像し実践できるよう、看護師は患者の思いを引き出し、不安や疑問の解消につなげる必要がある。また、痔疾患患者の特性を理解し、いつでも患者からの質問に答えられるよう知識の再確認と態勢を整える必要がある。看護師は退院後の生活を見据えた説明や指導が出来れば不安の軽減に繋がると考えるため、患者を取り巻く環境も考慮し個別性を踏まえた入院生活支援を行っていきたい。