第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター19群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:高木 真希

[ポスターM-19-1] 入院中の統合失調症を有する患者のパーソナルリカバリーへの促進支援

-自己効力感および自尊感情に対する患者本人の自覚するストレングスの数、サポートをしてくれる人の数との関係性について-

光永 憲香1, 竹村 涼音2, 中西 三春2, 坂井 舞2, 大室 則幸3 (1.東北福祉大学健康科学部保健看護学科, 2.東北大学医学部保健学科, 3.大崎市民病院)

Keywords:自己効力感、ストレングス、自尊感情、サポート数

【抄録】
【目的】統合失調症を有する患者のパーソナルリカバリーに自己効力感や自尊感情の高さが寄与するとされている。また、パーソナルリカバリーの促進因子として、患者本人の自覚するストレングスの数やサポートをしてくれる人の数の多さが明らかとなっている。本研究では、入院中の統合失調症を有する患者の自己効力感および自尊感情に対する患者本人の自覚しているストレングスの数、サポートの数との関係性について明らかにし、パーソナルリカバリーを促進する看護支援について考察することを目的とした。【方法】2018 年1 月から2019 年11 月の期間に、精神科病院で入院中の統合失調症を有する患者を対象に調査を実施した。入院時と退院前の2時点で、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)の高さで自己効力感の高さを、また、ローゼンバーグ自尊感情尺度(RSES)の高さで自尊感情の高さを評価した。また、退院前にストレングスの数、サポートの数についても回答を依頼した。GSES とRSES の入院時と退院前のスコアおよび入院時から退院前までの変化量に対するストレングスの数とサポートの数との相関を調べるため、Spearman の順位相関検定を行った。本研究は、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会により承認された後に開始した(受付番号:2020-1-1073)。【結果】同意を得た患者38 人のうち、退院前の調査で、ストレングスの数について有効回答があった31 人と、サポートの数で有効回答があった25 人を分析対象とした。サポートの数は、GSES およびRSES のいずれのスコアとも有意な相関は認められなかった。一方、ストレングスの数の多さは退院前のGSES 合計スコアおよび入院時、退院前のRSES 合計スコアの高さと有意に相関していた。【考察】ストレングスの数と自己効力感、自尊感情の間には有意な関連が認められたことから、入院中に自分のストレングスを多く挙げられる患者は、自己効力感、自尊感情が高いことが示唆された。一方、サポートの数が自己効力感や自尊感情と有意な相関を示さなかったことは、人と会う機会や連絡を取ることが普段と比べ困難な状態にあったため、相談できる人の数の過小評価につながっていた可能性が考えられた。つまり、患者の自己効力感や自尊感情を高めるためには、自身のストレングスをより多く自覚できる看護支援を行っていくことが必要である。