第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター19群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:高木 真希

[ポスターM-19-2] 急遽施設入所になった重症心身障がい者の終末期の母が抱くケアに対する思い

近藤 香里, 永池 由紀子, 西村 かをる (かがわ総合リハビリテーションセンター)

Keywords:施設入所、重症心身障がい者、母

【抄録】
【目的】急遽、施設入所となった重症心身障害者(以下、重症者)のターミナル期の高齢の母が抱く子どものケアに対する思いを明らかにする。【方法】研究対象者:重症者のターミナル期の母1 名。調査方法:質的帰納的記述研究。インタビューガイドを用いた半構成的面接法。インタビュー内容は、重症者のケアに対する思いとし、自由に語ってもらった。対象者の同意を得て録音した。データ収集期間:20XX 年12 月~20XX+1 年2 月。分析方法:逐語録から「施設入所」、「ケアに対する思い」に対する文脈を抽出し、抽出した文脈を1 つの内容で区切り、1 内容を1 データとした。1 データ毎に要約、コード化し、サブカテゴリー、カテゴリー化した。分析にあたっては、研究者間の意見が一致するまで話し合いを重ね信憑性と妥当性確保に努めた。【結果】114 の総データから、35〔サブカテゴリー〕、6『カテゴリー』が抽出された。母は〔子どもが障害を持ってから絶望と葛藤〕がありながら〔自分のせいだと思っている責任感と覚悟〕を持って在宅で子どもをケアしていた。また〔自分の気持ちが前向きに変化したきっかけ〕など様々な経験から『子どもが障害を持ってからの自分』を語っていた。施設入所に対して『昔見学した時のイメージからの不安』が残っていたため『今、思っている子どもへの思い・安心感』と『在宅での自分のやり方を継続してくれる安心感』を語り、残される子どもの生活を大切に思っていた。さらにコロナ禍で実施した〔外泊した時の思い・感じたこと〕から「自分の病気の進行と子どもの在宅介護の限界」を感じていた。そして『学校への感謝の気持ちと周囲の人との関わり』、『家族に対する感謝の気持ち』を語り、自分のことを振り返っていた。【考察】母の語りから『子どもが障害を持ってからの自分』について最も時間をかけていた。また「自分の病気の進行と子どもの在宅介護の限界」について語ることで、限りある時間で母親としてできる支援や今だから望むことを伝えることで看護師とケアを共有するきっかけになった。さらには家族への感謝、自分と子どもを受け入れ、前向きになれた学校や周囲の人との関わりなどを語ることで人生を振り返り、自分自身の承認の機会になったと考える。