第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター2群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:増渕 美恵子

[ポスターM-2-1] コロナ禍における面会制限中の終末期高齢者の意思決定支援にかかわる看護師の葛藤

齋藤 梢 (JA 徳島厚生連阿波病院)

Keywords:代理意思決定、終末期、コロナ禍、面会制限、看護師の葛藤

【抄録】
【目的】コロナ禍における面会制限が行われている中、終末期高齢者の意思決定支援に関わる看護師の葛藤を明らかにすること【方法】同意を得た病棟看護師6 名に独自に作成したインタビューガイドに沿って半構成的面接を行い、遂語録を作成しカテゴリーで分類していき質的統合法で分析を行う【結果】分析の結果5つのカテゴリーが導き出された。【考察】「コロナ禍での面会制限で生ずる家族との認識のズレ」では言葉では十分に伝わらず、看護師が看ている患者と家族が思っている患者像にギャップがあることに葛藤がある。また、患者・家族の希望を考えて行動しても家族の肯定的な反応が確認できず、一方的なケアに対して満足感が得られていない。患者に一番関わる看護師は面会の大切さを理解しており会わせてあげたいという思いがあるのに、それを実現できないことに無力感がある。「治療方針に対して医師との温度差」では医師・看護師のそれぞれの職業観による終末期医療に対する捉え方に相違があり、治療を優先することに葛藤が生じている。患者についてのカンファレンスを医師と行う機会が少なくなり、コミュニケーションが不足しているため、治療方針に対する温度差が生じている。「延命処置と自分の倫理感との対立」では高齢者の終末期に対する考え方が、医療者と家族とでは異なるため延命処置を選択する家族に対しての葛藤がある。「家族の決定と自分の価値観との板挟み」では看護師から家族に対する助言や相談の結果、家族が決定したことに対して看護を行うが、患者本人の意見はなく、患者の思いが取り残されているではないかと感じる気持ちと家族の思いを尊重したい気持ちとの間で揺れ動いている。「退院支援で複数の考慮すべきことに苦慮」では長期の入院によるADL の低下や、家族関係の希薄化などに加え、面会制限による情報不足により退院支援が困難になっている。