第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター2群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:増渕 美恵子

[ポスターM-2-2] ICU における重症COVID-19 患者家族のニードについて

- CNS ‐ FACE2 を基に作成した質問紙調査から-

大久保 勇輝, 佐藤 信之介, 八鍬 すみえ, 成澤 節子 (山形県立中央病院)

Keywords:重症COVID-19、家族、ニード、CNS-FACE2

【抄録】
【目的】国内における重症COVID-19 患者家族のニードに関する報告は少ない。そこで、面会禁止下にある重症COVID-19 患者家族のニードを明らかにし、ニードに沿った家族ケアや支援へ繋げていけるように検討した。【方法】CNS-FACE2 は、看護師が家族を観察し客観的にニードを把握する尺度である。しかし、コロナ禍の面会禁止により家族を看護師が客観的に観察することが出来ない状況にある。そこで、CNS-FACE2 の開発者に許可を得て、家族が主観的にニードを評価できるようCNS-FACE2 を基に独自の質問紙を作成した。令和2 年3 月~令和3 年9 月にA 病院ICU へ入院した重症COVID-19 患者家族に郵送法で調査し、単純集計を行った。郵送時期については、家族に更なる心理的負荷を与えないよう、患者の病状が軽快し退院してから郵送した。【結果】対象者21 名に送付し16 名から回収した(回収率76%、有効回答率93%)。重症COVID-19 患者家族のニード平均値±標準偏差で最も高かったのは[保証]3.24 ± 0.38であり、次に[情報]2.72 ± 0.68、[接近]2.71 ± 0.88、[社会的サポート]2.27 ± 0.67、[情緒的サポート]2.1 ± 0.48 と続き、最も低かったのは[安楽・安寧]1.74 ± 0.42 であった。重症COVID-19 患者家族のコーピング平均値±標準偏差は、[問題志向的]2.59 ± 0.47、[情動的]2.19 ± 0.36 であった。【考察】[保証]のニードは、患者に行われている治療や処置に対して安心感・希望などを保証したいとするニードである。[保証]のニードが高かった理由としては、急激に変化するCOVID-19 病態に対して不安や恐怖を感じていたこと、メディアによる報道により医療者に対して感謝や労いの気持ちが高まったこと、情報不足により患者が受ける治療や処置に対して安心感を求めていた可能性がある。[情報]のニードを満たすことは、家族が患者に行われている治療や処置を理解することに繋がり、[保証]のニードも満たすのではないかと考える。そのため、面会禁止下における重症COVID-19患者家族には、[問題的志向的][情動的]のコーピングを踏まえ、看護介入の一つとして頻回に家族へ電話連絡を行うことやWeb 会議システムを用いて正しい情報提供を行うことが重要であると示唆された。