第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター2群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:増渕 美恵子

[ポスターM-2-4] がんの終末期患者に対する意思決定支援と看護師の葛藤

-コロナ禍においてのアプローチ-

山本 麻依子, 小林 健太 (八潮中央総合病院)

キーワード:意思決定支援、看護師の葛藤、コロナ禍、終末期、退院調整

【抄録】
【目的】新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、緩和ケア病棟でも面会制限を余儀なくされた。その中で、終末期患者の退院調整に関する意思決定支援をする看護師の役割と葛藤を明らかにする。【方法】緩和ケア病棟の看護師14 名を対象にアンケートを実施した。質問紙は、退院調整に関する意思決定支援に対しての看護師の役割とコロナ禍による看護師の葛藤に関する項目で作成した。選択式は、質問7 項目に単純集計、自由記載は、抽出された内容をカテゴリー化し分析した。研究参加者には、本研究への参加は自由意志であり、不利益がないこと、結果の公表と個人情報保護について説明し同意を得た。【結果】退院支援のなかでコロナ禍の葛藤があると回答した看護師が70%であった。その中で、自由記載の内容を「面会」「患者」「家族」「看護師」の4 つもカテゴリーに分けた。とくに「面会制限下での退院支援」「患者と家族が十分に会えない」「緩和ケアとしての役割を果たせない」という回答が得られた。退院が困難となる要因は、患者と家族の不安が90%以上であった。在宅復帰率は、2018 年度は、20.1%、2021 年度は、28.2%とコロナ禍において上昇した。【考察】アンケート結果から緩和ケア看護師は、コロナ禍の影響を受け、緩和ケアとしての役割を果たせないことが葛藤として挙げられた。またコロナ禍では、在宅復帰率が上昇した。これは、緩和ケア看護師として患者と家族の「会いたい」気持ちに応えようとしたことが考えられる。コロナ禍だからこそ、個々に寄り添い続けることが重要であることが示唆された結果である。退院支援を困難にする要因は、患者と家族の不安であった。これは、コロナ禍の影響にはさほど関係ない要因であり、どのような状況下であっても、患者が自分らしく、家族が後悔の少ない意思決定支援ができる環境を整える事が今後の課題と考える。