第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター2群 新型コロナウイルス感染症下の看護~看護職の心理①~

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:増渕 美恵子

[ポスターM-2-6] 単科精神科病院の看護師が抱く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への不安要因

澤村 光一 (醍醐病院)

Keywords:精神科、看護師、新型コロナ、不安

【抄録】
【目的】単科精神科病院の看護師が抱える新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への不安要因を明らかにする。【方法】本研究では、研究協力者に対し半構成的面接法を用いた。対象は単科精神科病院の病棟勤務者、かつ精神科看護経験が2年以上ある看護師5 名とした。インタビュー内容は、「新型コロナウイルス感染症への不安」について尋ね、分析はインタビュー内容から逐語録を作成、コード化し、類似性にそってサブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。また倫理的配慮として、研究協力者へ研究参加・不参加による不利益を被ることはないこと、個人情報は匿名化し保護されることを説明した。【結果】5 名のインタビューデータより、227 のコードと20 のサブカテゴリー、そして次の6 つのカテゴリー「単科精神科病院における院内感染への不安」、「未知のウイルスへの不安」、「市中感染してしまうことへの不安」、「単科精神科病院の設備・物品への不安」、「行政施策への不安」、「精神看護の質が低下することへの不安」を抽出した。【考察】単科精神科病院の看護師が抱く特徴的な不安は、以下の3カテゴリーであった。カテゴリー「単科精神科病院における院内感染への不安」では、入院患者が比較的高齢であり、感染した場合、重篤な状況に陥りやすいこと、さらに看護師が感染対策のスペシャリストばかりではなく、感染症に対する知識・技術が不足していることに不安を感じていることがわかった。そのため、日頃から実践を想定した具体的な感染シミュレーションを行うことが必要である。次に、カテゴリー「単科精神科病院の設備・物品への不安」では、単科精神科という限られた設備の現状が、看護師に不安を想起させていた。患者の症状が悪化し、当該施設の許容範囲を上回った場合には、すぐに治療のできる施設へ転院できるようにする医療システムが必要であり、更なる近隣施設との連携・協力体制の強化が望まれる。最後に、カテゴリー「精神看護の質が低下することへの不安」では、看護師はコロナ禍でのさまざまな制限が患者への精神看護に与える影響を憂慮しつつ働いていることがわかった。このようなコロナ禍特有の制限による精神看護の質的低下については、看護職種だけで対応することは難しい。医師をはじめ、他職種と協働しながら、新たな看護の方法を考え、工夫し臆することなくトライしていくことが必要である。