第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター20群 看護管理~労務管理~

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:竹井 しのぶ

[ポスターM-20-5] 初回勤務異動時の看護師の職場適応プロセスについて

原 飛鳥, 田村 歩美 (坪井病院)

Keywords:初回勤務異動、プロセス、適応

【抄録】
【目的】看護師の勤務異動は、キャリアアップや組織の活性化等の目的がある。しかし、勤務異動未経験者にとって不安が大きい。また、新人教育に比べ研修や人的サポートは薄く、個人の適応スキルに任せざるを得ない。先行文献において、初回勤務異動の看護師の適応プロセスに焦点を当てた研究は見当たらなかった。そこで、初回勤務異動を経験した看護師が、どのように新しい職場に適応したのか明らかにすることを本研究の目的とした。【方法】A病院に新卒で入職し、経験年数10 年以下で勤務異動を1回以上経験し、かつ、その職場に半年以上勤務した看護師5名を対象とし、初回勤務異動時について想起してもらい30 分程度の半構成的面接を行った。得られたデータを内容の類似性に沿ってコード化し、類似性、構造などを見てカテゴリー別に分類し名称をつけた。倫理的配慮としては、秘密を厳守することを約束した上で、自由意思で参加の許諾を得た。【結果】回答内容から分析した結果、《異動前の衝撃~異動に向けて覚悟する時期》《異動後苦痛を感じる時期~適応に向かおうとする時期》《適応時期》の3つのカテゴリーが得られた。《異動前の衝撃~異動に向けて覚悟する時期》の対象者は、勤務異動そのものや新たな領域での勤務に対して過度な不安を抱くが、対象者自身の対処行動や周囲のサポートを活用し、覚悟をしていた。《異動後苦痛を感じる時期~適応に向かおうとする時期》では、新たな職場環境や人間関係の変化、未熟さの自覚から苦痛を感じるが、知識や技術の習得と新たな人間関係構築のための主体的行動と周囲のサポートを活用し適応に向かおうとしていた。そして、主体的な看護の展開と新たな人間関係の深まりの中で《適応時期》を迎えていた。【考察】先行文献との比較から初回異動でも2回目以降の異動であっても新たな環境に適応していくプロセスは同様であった。本研究は初回異動を対象としていることから、異動前の不安に焦点が当てられたのが特徴的であった。初回勤務異動前の未知であるが故の過度な不安と異動後に一時的に抱える苦痛やストレスは、対象者の能動的取り組みと周囲のサポートを活用することで一定の適応を迎えていた。これには、対象者が困難さやストレスを乗り越え適応に至る上で、心理的安全性が重要な要因であったと考える。