第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター20群 看護管理~労務管理~

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:竹井 しのぶ

[ポスターM-20-6] A 病院看護師の感情労働と職務満足の実態調査

堀田 秀美, 石田 唯奈, 島田 のぞみ, 大茂 由美子, 西田 彩乃, 藤井 里菜 (富山県立中央病院)

Keywords:看護師、感情労働、職務満足度

【抄録】
【目的】A 病院に勤務する看護師の感情労働と職務満足度の調査を行い関連性を明らかにする。【方法】1.対象:A 病院に勤務している看護師と助産師660 名 2.データ収集:片山らが作成した「看護師の感情労働測定尺度」山下らが作成した「看護師の職務満足尺度」6 項目の属性を用いてアンケート調査を行い集計した。倫理的配慮はA病院倫理委員会の承認を得た。3.分析方法:看護師の感情労働測定尺度の5 因子「探索的理解」「表層適応」「表出抑制」「ケアの表現」「深層適応」と職務満足尺度について、アンケートでは5 段階評価で得点化したデータを、順序データと計量データの2 通りで相関係数を求めた。また、職務満足度得点が85 点以上を「上位25%」、85 点未満を「下位75%」とし、看護師の感情労働測定尺度の5 因子についてU 検定を行った。本研究では、患者に対して自分自身の感情を調節しながら介入する労働を感情労働とした。【結果】有効回答率は84.3%であった。感情労働測定尺度の5 因子のうち、職務満足尺度との相関係数では探索的理解(r1=0.311、r2=0.311)、ケアの表現(r1=0.225、r2=0.221)、深層適応(r1=0.195、r2=0.217)の3 因子でやや弱い正の相関が認められ(いずれもp<0.01)、職務満足度が高いほど3 因子も高くなる傾向にあった。職務満足度「上位25%」と「下位75%」と、感情労働測定尺度5 因子とのU検定では相関係数と同様に「探索的理解」「ケアの表現」「深層適応」の3 因子に有意差が見られた(いずれもp<0.01)。職務満足度が高いと上記の3 因子の得点率も高くなり正の相関があることが分かった。【考察】感情労働の因子「探索的理解」「ケアの表現」「深層適応」について相馬らは「看護師が感情労働を行うことは、患者・看護師・医師のコミュニケーションを円滑にし、医療・看護サービスの質の向上につながる。そしてそれは、患者満足度や医療看護サービスの評価の向上に寄与する」と述べている。「探索的理解」「ケアの表現」「深層適応」は、表面的に患者に合わせるのではなく、相手の感情に注意を払い、看護師自身が理解や共感を患者に伝えるためのスキルである。A 病院看護師においても良好な感情労働により患者とよりよい信頼関係を築き、看護サービスの質向上と職務満足の向上に寄与することができると考える。