第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター23群 看護管理~看護提供体制~

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (国際展示場)

座長:春木 邦惠

[ポスターM-23-2] がん患者とのアドバンス・ケア・プランニングにおける認定看護師としての役割を考える

市村 菜穂, 髙木 陽子, 岩科 麻見, 杉山 美和, 梶浦 やすえ (静岡市立清水病院)

キーワード:がん患者、アドバンス・ケア・プランニング、認定看護師、役割

【抄録】
【目的】治療初期から長年に渡り、がん関連の認定看護師(以下CN)を中心に対話を重ねてきた事例を用いて看護実践を振り返り、がん患者のアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)におけるCN の役割を明らかにする。【方法】事例研究。男性がん患者一例が対象。20 XX年~ 20 XX年+ 9年の診療録から支援内容や患者の反応を振り返り考察した。所属施設の倫理委員会の承認を得て実施。【結果】A 氏、60歳代、男性。大腸がんと診断され手術療法を施行。その後、肺転移、膵臓がんの診断。この頃から治療の選択に迷いがあり、がん関連のCN がA 氏の意思決定支援を行い、化学放射線療法を選択した。A氏は手先を使う仕事の継続を希望し副作用への不安を訴えていた。A 氏は副作用症状がつらい時には「治療はせずに好きなことをして生きてもいいのではないか。でも腫瘍マーカーが下がっていると治療を頑張ろうと思う」と治療の継続に揺れ動く気持ちが見られた。また、A氏は今後の希望について「故郷に帰りたい、孫がランドセルを背負った姿が見たい」と語った。治療と仕事が両立できるよう症状マネジメントやセルフケア支援を行い、同時にA氏の価値観や希望を支持し、信頼関係が築けるよう関わった。肺転移が増大し、A 氏から「もう駄目だと思うから今後のことを考えたい」とがん化学療法看護認定看護師(以下CCN)、緩和ケア認定看護師(以下PCN)に相談があった頃は、サプライズクエスチョンに該当する時期であり、ACPを開始するタイミングであると判断した。A 氏、家族、主治医、CCN、PCN、薬剤師で話し合いの場を持ち、治療をやめて自宅で最期まで過ごしたいというA 氏の希望を聞き、治療・ケア目標を関係職種で共有し在宅医や訪問看護師など地域へ繋いだ。【考察】CN が治療初期からA 氏と関わり、価値観や希望を理解し、専門的知識とエビデンスに基づいた看護実践をしたことが、信頼関係の構築に繋がり、ACP をスムーズに行うことができたと考える。患者にとって最も身近な存在である看護師がよき相談相手となり、患者の意思決定を支えACP を実践できるよう、CN は患者の語りに耳を傾け患者の大切にしていることや希望を尊重していくことが必要である。さらに、多職種と連携しACP のタイミングを見逃さないこと、医療チームの中心となり患者の希望や治療目標を共有し関わっていくことが必要であると考える。