第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター25群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

Wed. Nov 9, 2022 12:40 PM - 1:40 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:大柴 幸子

[ポスターM-25-1] 高齢者における主観的健康感と食生活要因との関連性

-前期・後期高齢者別および性別による検討-

石井 遥 (富山県立中央病院)

Keywords:主観的健康感、食生活、高齢者

【抄録】
【目的】個人が自分の健康状態をどのように感じているかという意識は「主観的健康感(self-rated health)」として、国内外で健康指標の一つと見なされている。主観的健康感は客観的な健康指標に相関し、疫学研究では死亡率や疾病罹患率に対し独立した寄与因子であることが示されている。高齢者に対して適切な生活・療養指導を行うために主観的健康感に関連する要因を知ることは有用である。本研究では、高齢者の日常生活の中で大きな比重を示すと考えられる食生活要因に着目し、主観的健康感との関連性を検討した。【方法】内閣府が実施した「食育に関する意識調査報告書2018」のデータの二次解析を行った。対象を65 ~ 74 歳の前期高齢者と75 歳以上の後期高齢者とし、主観的健康感、食生活に関連する調査項目、暮らしと時間のゆとり、同居家族のデータを抽出し、主観的健康感を従属変数として前期・後期区分と性別に分けて解析した。【結果】Speaman の順序相関にて主観的健康感に有意な正の相関を示す要因は、前期高齢者では男女ともに「健全な食生活への心がけ」、「食の安全性への判断」、「野菜をたくさん食べる」、「暮らしのゆとり」であるのに対し、後期高齢男性では「食育への関心」と「よく噛んで食べる」、後期高齢女性では「食育への関心」、「健全な食生活への心がけ」、「暮らしのゆとり」であった。一方、いずれの区分でも主観的健康感に対して「塩分を摂りすぎない」、「朝食摂取状況」、「生活習慣病予防の実践」は有意な相関は見られず、同居家族の有無もカイ2乗検定にて有意差は見られなかった。主観的健康感を目的変数とした尤度比による変数増加法の多重ロジスティック回帰分析では、前期高齢者男性では「食の安全性への判断」と「暮らしのゆとり」、前期高齢者女性では「野菜をたくさん食べる」と「暮らしのゆとり」、後期高齢者男性では「よく噛んで食べる」、後期高齢者女性では「食育への関心」と「よく噛んで食べる」が有意なモデルの説明変数として回帰式に採択され、判別的中率はそれぞれ83.0%、82.7%、82.2%、80.0% を示した。【考察】高齢者の主観的健康感に食生活要因が有意に関連し、その内容は年代と性別により差異があることが示唆された。本研究は高齢者の区分に基づく、より適切な保健指導や健康増進支援プログラムの提案に参考になると考えられる。