第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター25群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (国際展示場)

座長:大柴 幸子

[ポスターM-25-2] 認知症高齢者に対する高照度光療法による効果

-高照度光療法が意欲に与える変化-

荻原 育子, 伊藤 美和, 船渡川 久乃, 新井 涼治 (とちぎメディカルセンターしもつが)

キーワード:高照度光療法、意欲、睡眠障害、認知症高齢者

【抄録】
【目的】高照度光療法は認知症高齢者の意欲を高めることで介助量を軽減し、患者のQOL の向上を目指すケアの確立につながると考えた。高照度光療法開始初日(以下初日)の意欲の評価が5 点以下の患者に、高照度光療法が意欲に与える効果を明らかにする。【方法】2019 年8 月~ 11 月に認知症高齢者日常生活自立度評価3 以上で認知症の診断を受けている患者、不穏行動があった患者、入院後解熱を確認して呼吸困難感のない患者22 名に高照度光療法初日と10 日目の意欲の変化を記録する。記録者は研究を理解した7 名で意欲の指標を用いて単純集計を行った。意欲の指標の初日の点数が5 点以下と6 点以上のグループに分類し、初日と10 日目の点数の差についてt 検定を行い、有意水準を5%とした。得たデータは個人が特定できないように匿名化、データは厳重に保管した。研究に不参加であっても不利益を受けないことを説明し、本研究の学会等への公表の承諾を得た。【結果】高照度光療法を実施した22 名の対象者は80~100 歳(平均87.2 ±5.4)、男性8 名、女性14 名。高照度光療法による意欲の変化で点数が上がった患者は12 名。下がった患者は4 名。変化がない患者は6 名。上がった患者の内、初日が5 点以下の患者が11 名、6 点以上が1 名。下がった、もしくは変化がなかった患者の内、5 点以下が1 名、6 点以上が9 名。初日が5 点以下の患者12 名と6 点以上の患者10 名の計22 名で10 日目の点数と変化の関連性をみるためにt検定を行った。その結果、初日5 点以下のグループはp > 0.0004 で有意差を認めた。初日6 点以上のグループは有意差を認めなかった。【考察】本研究は初日が5 点以下の場合、10 日目までに変化があった。6 点以上は10 日目までに変化がないか下がっていることが分かった。意欲の指標により、初日が5 点以下の患者に高照度光療法を実施することで意欲の変化に効果がある。先行研究では概日リズムを正常に戻す高照度光療法を実施したことで概日リズムが整い、体内時計が正常に保たれ、睡眠障害の改善に伴い患者の意欲低下を防ぐことに繋がったのではないかと考えた。今回、有意差を認めたことにより初日の意欲の指標が低い患者は、高照度光療法により体内時計を正常に導き意欲だけでなくQOL の向上に効果があると考える。