[ポスターM-25-6] 聞き書き的生活アプローチの意義に関する研究
-「言葉は地域の宝物」が語るもの-
Keywords:聞き書き的生活アプローチの意義、言葉は地域の宝物、人生の意味、バタフライ効果
【抄録】
【目的】本研究の目的は、「聞き書き的生活アプローチ」を看護に生かす意義を明らかにすることである。【方法】「言葉は地域の宝物」に掲載された聞き書き作品20 編を「聞き書き的生活アプローチ」の意義に注目して、質的帰納的に分析した。用語の定義として、「聞き書き」とは、語り手の話を聞き、それをその人の話し言葉で書いて、一冊の冊子にして語り手に渡す「共同作業」のこと(辛島、2021)であり、「聞き書き的生活アプローチ」は、その人のこれまで生きてきた「物語」の史実もさることながら、「その人らしさ」に最大の重点を置き(小田、2018)、語り手の話を聞くことから生まれる「奇跡」。その「奇跡」がまた「奇跡」を呼ぶ。これが「聞き書き」における「バタフライ効果」であり、「聞き書き的生活アプローチ」である(小田、2020)。【結果】「言葉は地域の宝物」に掲載された聞き書き作品20 編を分析した結果、<社会情勢、社会変動><子どもの頃><うれしかったこと><人生における折り合いをどうつけるか、発達課題><仕事><家族>の6つのカテゴリーが抽出できた。<社会情勢や社会変動>を背景に、<子どもの頃>の暮らしがあり、<仕事>や<家族>とのつながりや暮らしが営まれ、そのつながりの中で育まれた<うれしかったこと>や喜びが、その人の<人生に折り合いをどうつけるか、発達課題>へとつながっていた。【考察】「『言葉』は、地域の宝物」に掲載された「聞き書き」作品で語られた「聞き書き的生活アプローチ」を看護に生かす意義として、<社会情勢や社会変動>を背景とした<子どもの頃>の暮らしは、<仕事>や<家族>とのつながりや暮らしが営まれる中で生まれた<うれしかったこと>や喜びが、その人の<人生に折り合いをどうつけるか、発達課題>へと深くつながることが考えられた。荒木ら(2019)は、「聞き書き」は【語り手の個人史や価値観の理解が深まる】【聞き書きは個別性のあるケアを創り出す】と指摘している。看護における「聞き書き的生活アプローチ」の実践は、語る患者の個人史や価値観の理解をより深め、個別性のあるケアを生み出す原動力となる。それは患者自らがアイデンテイテイの継続と保存、さらに、病気や障害と共に生きる患者自身の発達課題を超越する方向へと加速する活動的なエネルギーを生み出すこととなる(ラーシュ・トーンスタム、2017)といえよう。
【目的】本研究の目的は、「聞き書き的生活アプローチ」を看護に生かす意義を明らかにすることである。【方法】「言葉は地域の宝物」に掲載された聞き書き作品20 編を「聞き書き的生活アプローチ」の意義に注目して、質的帰納的に分析した。用語の定義として、「聞き書き」とは、語り手の話を聞き、それをその人の話し言葉で書いて、一冊の冊子にして語り手に渡す「共同作業」のこと(辛島、2021)であり、「聞き書き的生活アプローチ」は、その人のこれまで生きてきた「物語」の史実もさることながら、「その人らしさ」に最大の重点を置き(小田、2018)、語り手の話を聞くことから生まれる「奇跡」。その「奇跡」がまた「奇跡」を呼ぶ。これが「聞き書き」における「バタフライ効果」であり、「聞き書き的生活アプローチ」である(小田、2020)。【結果】「言葉は地域の宝物」に掲載された聞き書き作品20 編を分析した結果、<社会情勢、社会変動><子どもの頃><うれしかったこと><人生における折り合いをどうつけるか、発達課題><仕事><家族>の6つのカテゴリーが抽出できた。<社会情勢や社会変動>を背景に、<子どもの頃>の暮らしがあり、<仕事>や<家族>とのつながりや暮らしが営まれ、そのつながりの中で育まれた<うれしかったこと>や喜びが、その人の<人生に折り合いをどうつけるか、発達課題>へとつながっていた。【考察】「『言葉』は、地域の宝物」に掲載された「聞き書き」作品で語られた「聞き書き的生活アプローチ」を看護に生かす意義として、<社会情勢や社会変動>を背景とした<子どもの頃>の暮らしは、<仕事>や<家族>とのつながりや暮らしが営まれる中で生まれた<うれしかったこと>や喜びが、その人の<人生に折り合いをどうつけるか、発達課題>へと深くつながることが考えられた。荒木ら(2019)は、「聞き書き」は【語り手の個人史や価値観の理解が深まる】【聞き書きは個別性のあるケアを創り出す】と指摘している。看護における「聞き書き的生活アプローチ」の実践は、語る患者の個人史や価値観の理解をより深め、個別性のあるケアを生み出す原動力となる。それは患者自らがアイデンテイテイの継続と保存、さらに、病気や障害と共に生きる患者自身の発達課題を超越する方向へと加速する活動的なエネルギーを生み出すこととなる(ラーシュ・トーンスタム、2017)といえよう。