第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター28群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護②

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:栂野 加寿枝

[ポスターM-28-4] ICU におけるせん妄予防ケアの効果

-せん妄スクリーニングツールを用いたせん妄の早期発見と看護介入の実施-

河合 美保, 田村 いずみ, 渡邉 裕子 (東京都立東部地域病院)

Keywords:ICU、せん妄予防ケア、DST、早期発見、看護介入

【抄録】
【目的】せん妄は、在院期間の延長や死亡率上昇の危険因子となり、退院後の認知機能低下やQOL など患者の予後に関連するため、予防に努めることが重要となる。本研究はせん妄発症リスクの高い患者を早期発見するため感度の高いDelirium Screening Tool(DST)を導入し、看護介入を行った効果を明らかにすることを目的とする。【方法】1. 研究期間: ⑴ DST 導入:2020 年12 月~翌年4 月⑵看護介入:2021 年9 月~ 11 月 2. 対象者:研究同意を得たICU 入室患者 3. 除外基準: 入室6 時間未満、15 歳以下の患者 4. 研究デザイン:準実験的デザイン 5. データ収集方法:(1)手順① DST 導入:DST 勉強会を実施後、日勤でDST 判定を実施 ②看護介入:a. 日勤でDST 判定を実施 b. せん妄予防ケア表を作成し、DST 系列A にチェックが付いた患者に看護介入を実施6. データ分析方法: 症例検討の質的分析《倫理的配慮》研究者所属施設の看護部倫理委員会の承認を得た。(承認番号:R3K5)【結果】対象患者26 名。うちDST 系列A にチェックがついた患者は7 名で、せん妄を発症した可能性のある患者は4 名であった。DST 系列A にチェックがついたら、せん妄予防ケア表に則りリアリティオリエンテーションと運動の看護介入を実施した。7 名中4 名は看護介入後にDST のチェックが外れた。チェックが外れた4 名中2 名はせん妄を発症していた可能性のある患者であった。DST のチェックがついた患者のうち1 名で、症状の変化が認められる看護記録があるが、適切なスクリーニングが行われず看護介入が遅れていた。【考察】DST のチェックが付いた7 名中看護介入後に4名のDST チェックが外れていることから、せん妄スクリーニングを行い、せん妄発症リスクが高い患者に対し早期に看護介入を行うことでせん妄発症予防に効果的だったと考えられる。また、せん妄を発症したとみられる患者に対して看護介入を行うことにより症状が改善されたと考えられる。しかし、DST を導入し1 日1 回過去24 時間の状況を踏まえ評価を行ったが、勤務者が変わることでDST 判定に誤差が生じた可能性があった。統一したせん妄評価を行えるよう、再度せん妄スクリーニングの必要性とせん妄予防ケアの周知と実施に取り組んでいく必要がある。