第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター3群 疾病とともに暮らすことへの支援①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:永井 健太

[ポスターM-3-3] 感染症流行下で化学療法を受けている患者の感染予防の認識と行動

飯塚 優子, 田中 萌子 (川口市立医療センター)

キーワード:感染予防、化学療法、退院後に困ったこと、感染症、新型コロナウイルス

【抄録】
【目的】A 病棟では化学療法を受けている患者が多く自己の感染予防が重要である。入院中から感染予防の必要性を繰り返し指導しているが実際の行動は把握できていない。そこで、新型コロナウイルス感染拡大下の患者の感染予防に関する認識と行動を明らかにする。【方法】独自の質問紙全9 問を作成し自記式質問紙法と半構造化面接で調査。自記式質問紙法は集計し数値化。半構造化面接は録音したインタビュー内容から逐語録を作成。コード化し、サブカテゴリー、カテゴリー名を作成。研究対象者は退院を経験し再入院している患者10 名。倫理的配慮として所属施設の倫理委員会の了承を得た。研究協力は自由参加で不利益は生じないこと、プライバシーの保護等を説明し、同意書の署名で同意を得た。【結果】血液内科5 名、呼吸器内科5 名は自記式質問紙法から手洗いや含嗽は9 名、マスク着用は10 名が行っていた。排便は便秘や下痢に対し9 名が対処できていた。食事は5 名が生ものを控え、3 名が食事量や栄養バランスに注意していた。半構造化面接では、化学療法1 ~ 3 回受けた患者6 名中2 名は治療による血球低下時期や感染対策を強化する時期について不明と回答した。化学療法4 回目以上の患者4 名中3 名は食生活に加え、体重管理や体力づくりなど治療を継続するための健康の維持に配慮し、生活していた。新型コロナウイルスが流行してから不安なことについて「感染による重篤化や死への不安」「他者との関わりの意識の変化」「家庭内感染に対する不安」等7 つのカテゴリーに集約した。呼吸器内科5 名中3 名が「重篤化や死への危機感」「著名人の感染後の死」を挙げ、感染による死への不安を回答した。【考察】化学療法1 ~ 3 回目の患者は治療を通して日常生活での注意点を習得していく時期であり、治療の副作用や感染予防についての疑問へ繋がっている。化学療法4 回目以上の患者はこれまでの治療経過から感染予防行動を習得し、自身の生活を確立した傾向にあった。また、がん患者は新型コロナウイルスへの感染は病状の重篤化や死へつながるという危機感を強く持っている。中でも肺がんに罹患している患者は肺に与えるダメージを強く認識しており感染は自分にとって命の危機と捉えている者も多く、死の不安へと直結している。患者の感染予防に関する認識と行動は治療経験により変化していき、自身の生活に適応させていることが明らかになった。