第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター3群 疾病とともに暮らすことへの支援①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:永井 健太

[ポスターM-3-6] ADL が自立している化学療法施行患者の口腔ケア実施状況の実態

-口腔粘膜炎重症化予防のための効果的な口腔ケア指導に向けて-

中山 愛, 増本 大祐, 大島 美玲 (日本赤十字社長崎原爆病院)

キーワード:化学療法、副作用、口腔粘膜炎、口腔ケア、OAG

【抄録】
【目的】血液疾患に対して点滴による化学療法を施行した患者を対象とし、口腔ケアの状況及び口腔粘膜炎の発生状況を明らかにする。【方法】2020 年2 月~ 7 月にA 病院B 病棟に入院中の血液疾患に対して点滴による化学療法を施行しADL が自立している研究対象者35 名に対し口腔ケア用品、口腔ケアの実施状況、口腔内状況の情報収集を行った。データ収集は化学療法施行初日から3 日以内と施行初日から7 日以降14 日以内に各1 回の合計2 回行った。口腔ケアについては参考文献に基づき作成したチェックリストにて情報収集し、口腔内状況はOAG にて評価した。検定はMicroSoft Excel2019 を使用し、t 検定を行った。対象患者には同意書を用いて研究方法・目的を説明し、同意が得られた場合のみ個人が特定されないよう留意し情報を収集・使用した。【結果】対象者のうち口腔粘膜炎が発生したのは3 名であり、いずれも口腔粘膜炎が発生しやすい薬剤を使用していたが、割合としては21.4% と一般的な口腔粘膜炎の発生率よりも低い割合となった。また口腔粘膜炎は発生してもGrade 2(CTCAE Ver.5)に留まった。口腔ケア用品は治療前後で大きな変化はなく、口腔粘膜炎の出現した対象者と出現しなかった対象者の間で口腔ケア用品の違いは見られなかった。治療後にOAG の点数が上がった項目は“ 嚥下”“ 口唇”“ 唾液”“ 粘膜”“ 歯肉” の5 項目であったが、各OAG スコア、合計点の間に有意差は認められなかった。自由記載ではこまめなうがい、柔らかい歯ブラシの使用等看護師の指導に基づいた行動変容についてや、定期的な歯科受診、日頃から歯間ブラシや含嗽薬などを併用した口腔ケアを行っていることが分かった。【考察】今回の調査では、元々口腔ケアに関心を持っている対象者が多く、治療前から継続した口腔ケアを意識的に行うことができていた。そのため、抗がん剤の中でも特に口腔粘膜炎が発生しやすい薬剤を使用していても口腔粘膜炎の発生率は低値に留まっており、口腔粘膜炎の発生抑制や重症化予防に繋がった可能性がある。また、看護師による病態や治療、副作用に関する説明、検温の際の口腔内の観察、口腔内環境や血球状態に合わせた口腔ケア用品の提案などが口腔ケアに対する意識付けに結び付いたと推察される。