第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター32群 リスクマネジメント②

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-32-1] SHEL 分析を用いた誤薬インシデントの再発防止策の検討

-分析結果を共有した看護師の語りから-

小島 綾華, 川村 聡美, 團塚 恵子 (札幌医科大学附属病院)

Keywords:誤薬、再発防止策、インシデント、SHEL モデル

【抄録】
【目的】誤薬インシデントに対するSHEL 分析の結果を共有した看護師の語りから、再発防止策を検討する。【方法】A病院B 病棟の2020 年度誤薬インシデント108 件のSHEL 分析を行った。看護師経験1 ~ 5 年目5 名、6 年目以上5 名を対象とし、SHEL 分析の結果をもとに再発防止策について1人約15 分インタビューを行った。質的記述的研究とし、インタビューで得た情報から逐語録を作成し、再発防止策についてカテゴリ化した。本研究はA 病院の看護研究倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】誤薬インシデントの再発防止策として、37 コード、17 サブカテゴリ、6 カテゴリを抽出した。カテゴリは、「システムやマニュアルに対する再発防止策」「物品や機器に対する再発防止策」「作業特性や環境に対する再発防止策」「本人に対する再発防止策」「周囲の人に対する再発防止策」「組織や体制に対する再発防止策」であった。1 ~ 5 年目の看護師は「物品や機器に対する再発防止策」「作業特性や環境に対する再発防止策」が少なく、「システムやマニュアルに対する再発防止策」が多かった。6年目以上の看護師は「周囲の人に対する再発防止策」が少なく、「本人に対する再発防止策」が多かった。【考察】6 年目以上の看護師と1 ~ 5 年目の看護師では、再発防止策に差があったことから、様々な経験年数の看護師で話し合うことが誤薬インシデントにおける再発防止策を検討するうえで重要と考える。A 病院はPNSを採用しており、ペアで考え確認するなど今以上にPNSを活用することも再発防止策として有効であると考えられた。また、誤薬インシデントの再発防止策として、これまで看護師のみで話し合ってきたが、医師と共に考える機会を設けることが有効である可能性が示唆された。本研究からSHEL モデルの5 つの要因にはない「組織や体制に対する再発防止策」が抽出された。効果的な再発防止策を検討するためには、マネジメントの視点が重要であり、複雑化している部署独自のマニュアルや習慣を見直すことや、患者の協力が得られるようなシステム作りを行うことが課題である。また、SHEL 分析の結果を共有した上で看護師が語った内容から再発防止策を検討することは、当事者として考える機会となりより具体的な再発防止策の検討に繋がった。