第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター33群 安全・安楽への支援③

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:殿谷 淳子

[ポスターM-33-1] 患者にとって安楽な腋窩枕の検討

-体格別に腋窩枕の種類を体圧と自覚症状で比較して-

森本 健朗, 千田 美月, 保 みき, 坂野 博美 (日進おりど病院)

Keywords:腋窩枕、体圧分散、側臥位

【抄録】
【目的】体格別に腋窩枕の種類を体圧と自覚症状で比較して今後の体位固定の方法を検討する。【方法】人工骨頭置換術時の体位固定を体格の異なる6 名に対して施行。男性2 名女性4 名BMI18.4 から33.8。3 種類(小、大、テンピュール枕)の腋窩枕を使用しA 病院の人工骨頭置換術の平均手術時間で体位固定を施行する。開始時30 分後60 分後終了時の腋窩枕の挿入部位、肩の体圧を体圧測定器で測定する。同様に疼痛スケールを用い疼痛の程度を聴取、その他自覚症状の有無を比較する。臨床研究倫理審査委員会の承諾を得る。研究の主旨調査結果は本研究の目的以外には使用しないこと、対象が特定できないことを説明し同意を得た。【結果】どの腋窩枕を用いても最も体圧がかかる部位は腋窩枕挿入部位であり疼痛発生部位も腋窩部であった。腋窩枕(大)は最も体圧値疼痛も大きかった。時間の経過と共に疼痛の増強がみられた。腋窩枕(小)は体圧値疼痛の程度の差が最も小さかった。テンピュール枕は対象者により体圧値疼痛の程度に差があった。【考察】今回、自覚症状で最も訴えが多かった疼痛は側臥位開始時とともに出現し時間の経過に伴い増強していく傾向にあった。筋肉は長時間の未使用、不活動により短縮し筋柔軟性の低下に繋がりやすい。また筋柔軟性が低下した筋肉は血行循環の低下により痛みの出現を来たすことから側臥位時の腋窩や肩の疼痛が出現したと考えられる。今回使用した腋窩枕の大きさにより、肩、腋窩にかかる体圧値に差がみられた。側臥位時、下側になる頭部、腓骨頭部、外顆を32 < mmHg >以下、側胸部、大転子部の圧を70 < mmHg >以下(もしくは周囲と均等)にすると良いと言われている。腋窩枕(大)では体圧が70 < mmHg >以上となる対象者もいた。最も疼痛の差が少なかった腋窩枕(小)は体圧が55 < mmHg >以下であった。ただ、対象者により腋窩枕(大)を使用時、体圧が低く、疼痛の訴えもない場合もあるため、体格、性別、本人の訴えもふまえ、腋窩枕を選択する必要がある。今回の研究結果より、現在使用中の腋窩枕3点において最も効果的な腋窩枕を一つに選択することは困難であり、患者の体格や性別骨突出の状態を考慮しその都度選択していくことが重要であることがわかった。今回患者の疑似体験をスタッフが行ったことで患者の苦痛を理解し疼痛に寄り添う看護の重要性を再認識することができた。