第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター4群 看護教育~新人教育~ 

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:伊藤 恵美

[ポスターM-4-2] コロナ禍により臨床実習を十分体験できなかった新人助産師の思い

梶川 紗琴, 角谷 奈美, 岡田 美穂 (広島市立安佐市民病院)

キーワード:新人助産師、コロナ禍、専門職教育

【抄録】
【目的】コロナ禍で臨床実習を十分に経験できなかった新人助産師の就職後の思いを明らかにし、今後の助産師育成へとつなげていくための参考とする。【方法】新人助産師3名に対し、研究の目的と方法、個人データの匿名化、データ保管・処理の方法、研究協力の拒否と中断の自由について説明し同意を得て、就職後4 か月目、9 か月目に半構成的面接を実施し、逐語録に基づき質的帰納的に分析しカテゴリー化した。【結果】新人助産師の臨床での体験として〈学生時代の体験とのギャップ〉〈力量不足〉〈適応と向上心〉〈自己認識〉〈知覚〉〈他者との関わり〉の6 つのカテゴリーが抽出された。臨床実習で十分に経験できないまま実際の臨床の場に出ることで、就職4か月目は技術面や患者とのコミュニケーションへの不安から〈学生時代の経験とのギャップ〉〈力量不足〉や〈他者との関わり〉への困難感を抱いていた。〈適応と向上心〉〈自己認識〉〈知覚〉では全員に漠然とした強い不安があり成長を感じられず達成感・満足感を得ることが出来なかった。就職9か月目は技術や知識に未熟性は感じるが、経験を積み重ね自信を持てたことで〈学生時代の経験とのギャップ〉〈力量不足〉が軽減した。〈他者との関わり〉への困難感も軽減し患者からの感謝の言葉や反応が励みとなっていた。〈適応と向上心〉〈自己認識〉〈知覚〉では患者からの反応や周囲からの期待を感じる事でやりがいや向上心が生まれたこと、技術の向上に対する達成感を味わえたこと、成功体験が増え不安が軽減したことで成長を感じた新人助産師がいた。なかには新たに習得できた助産技術が少なく達成感が得られない、自身の理想と求められる役割の差に戸惑いがあったという理由で成長を感じられなかった新人助産師もいた。【考察】コロナ禍で実習が制限され助産技術を実際に適用した経験が少なく、専門的知識や技術が十分に習得できていない状態で実際の現場に入ることは、新人助産師にとって能力以上のものを求められていると感じ不安や力量不足を強める要因となったと考えられる。また、実際の現場で患者とのコミュニケーションに不安や葛藤を抱くなど、学生時代に患者との関わりが十分に経験できなかったことは新人助産師の思いに大きく影響を与えたと考えられる。新人助産師育成の過程で学生時代の経験や実際の現場で感じる思いを知り、新人助産師の思いに寄り添ったサポートが必要である。