第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター5群 治療・検査に伴う看護

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:城尾 恵子

[ポスターM-5-2] nasal-CPAP デバイス固定に対する熟練看護師の認識調査

早川 蘭, 松本 朱花, 東森 優子 (豊岡病院但馬こうのとり周産期医療センター)

キーワード:デバイス固定、熟練看護師、NICU

【抄録】
【目的】経鼻的持続性気道内陽圧(以下nasal CPAP)は、マスク・プロング(以下デバイス)の不適切な固定より皮膚損傷や骨格の変形を起こすだけでなく、無呼吸の増加や呼吸状態の悪化につながる危険性があり、熟練した看護技術を要する。2019 年、A 病院NICU においてもnasal CPAP による呼吸管理を要した26 名の患児のうち6 名に皮膚トラブルを認めた。早産児・低出生体重児のnasal CPAP デバイス固定を熟練看護師がどのような観察、アセスメントに基づいて実践しているかを明らかにし、呼吸管理の質の向上につなげたいと考え、本研究に取り組んだ。【方法】早産児・低出生体重児のnasal CPAP デバイス固定についてインタビューガイドを作成。A 病院NICU に勤務する看護師のうちNICU 経験年数が5 年以上の看護師(全体の47%)で、同意が得られた看護師4 名(NICU 平均経験年数10 年)を個別に半構成的面接を実施。インタビュー内容を基に逐語録を作成し、意味内容の類似するものをまとめ、コード化、カテゴリー化を行った。【結果】339 個のコードから34 個のサブカテゴリー、6 個のカテゴリー「経験に基づいた観察視点」「児に適したデバイス・固定具の検討と評価」「皮膚トラブルの予防と発生時の対応」「児への負担を最小限にする工夫」「生理的安定と成長発達を目的とした観察とケア」「与えられた指導的役割との葛藤」が抽出された。【考察】調査前我々は、デバイス固定状況や固定部位の皮膚観察、適切なデバイス固定の判断能力と技術がnasal CPAP による呼吸状態の安定に関与していると考えた。しかし熟練看護師はそれらの観察視点に加え、共通して「睡眠―覚醒状態(以下state)」の重要性を認識していることが明らかになった。急性期においてもstateを第一に観察しながら児のケアパターンを調整し、児に適したデバイス・固定具の検討と評価を実践していた。木原は「児の状態・気持ちを汲み取り、個別性を見極めて対応することが大切」1)と述べており、state の観察を基にした実践は新生児にとって必要不可欠である。state 観察の重要性をどのように経験の浅い看護師へ伝達するか、熟練看護師は後輩指導に対する難しさ、葛藤を感じていた。安全なデバイス固定とディベロップメンタルケアの実践に向け共に成長できる教育が今後の課題と考える。