第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター5群 治療・検査に伴う看護

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:城尾 恵子

[ポスターM-5-5] 事例研究を用いた胸部ステントグラフト内挿術後対麻痺症例への看護介入の検討

深井 春菜, 田中 未紗希, 高橋 敦也, 齋藤 麻美, 船水 あゆみ (弘前大学医学部附属病院)

キーワード:胸部ステントグラフト内挿術、術後対麻痺、事例研究

【抄録】
【目的】胸部ステントグラフト内挿術(以下TEVAR とする)の合併症のうち、術後対麻痺は発症率が2.5%と少ないが、患者のADL やQOL に関わる重大な合併症である。本研究ではTEVAR 術後に対麻痺を発症した症例を振り返り、より効果的な看護介入について明らかにしたい。【方法】診療記録からX 氏の状態、言動、看護実践などを情報収集し、「ケアの意味をみつめる事例研究」の手法を用い検討した。またケアの意味をみつめる事例研究を行っている研究者らから、スーパーバイズを受けた。倫理的配慮として、収集したデータは匿名化し、個人が特定されないようにした。【結果】語り合いから、診療記録に書かれていない情報や看護師の想いを明らかにし、症例における良い看護や改善点などを話し合うことが出来た。話し合いから看護行為の核となる部分について、大きく3 つ挙げられた。一つ目は「心の声をきかせて」と題し、心身の状態や想いを傾聴することの大切さを再認識した。二つ目は「心をひとつに」と題し、多職種がワンチームとなり患者ニーズを満たすことが重要だと挙げられた。三つ目は「心をつなぐ」と題し、チームを越えた継続看護を展開し患者の希望を繋げていく必要性を感じた。【考察】術前の説明では、ADL やQOL を脅かすような合併症のリスクがあることを、具体的に理解できているか確認することが必要である。術後対麻痺の告知を受けた後では、対麻痺や今後の生活についてどのように捉えているかを確認することで、患者の不安に寄り添った具体的な声がけにつながる。また術後対麻痺の受け止め状況等を医師、看護師、理学療法士など多職種で情報共有し、目標や介入方法を早期に検討することが必要である。さらに、患者のこれからの人生を共に考え、地域社会で生活していくうえで必要な医療、看護、社会福祉について検討し、連携していくことが重要である。