第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター6群 在宅療養移行支援②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:栁澤 節子

[ポスターM-6-1] 退院支援に関わる意思決定支援の実態

工藤 由貴, 丸山 佳菜, 木村 稜也 (岡山済生会外来センター病院)

Keywords:退院支援、意思確認、退院支援カンファレンス

【抄録】
【目的】A 病院は地域包括ケア病棟をもつ施設であり、在宅復帰支援を中心としたケアを提供している。退院前に今後の方針や多職種との情報共有、サービス調整のための退院支援カンファレンス(以下、カンファレンス)を行っていく中で、患者の思いに沿った関わりが出来ているのか疑問に感じた。本研究では、入院時に患者が希望していた退院先と実際に退院した場所が異なっていた際に、患者の思いに沿った関わりや最終的な意思確認ができていたか明らかにすることが目的である。【方法】2020 年4 月1 日~ 2021 年3 月31 日の間、退院した患者413 名のうち、入院時に患者の希望していた退院先と実際に退院した場所が異なっていた患者30 名を対象とした。患者カルテより退院支援に関する情報を収集する後ろ向き研究、データは単純集計とし、対象者の個人が特定されないように配慮した。A病院倫理審査委員会の承認(No.210701)を得た。【結果】対象患者30 名のうち退院先について患者の意思確認ができていたのは23 名、意思確認ができていなかったのは7 名であった。意思確認ができていなかった患者7 名のうち5 名は家族に向けてカンファレンスを行っていたが、患者は参加していなかった。患者が参加しなかった要因としては患者がカンファレンスに参加できる体調でなかったことや、せん妄状態であったこと、また家族の意向などが挙げられる。残りの2 名については、患者は地域包括ケア病棟入院時に自宅退院を希望していたが、すでに前医より施設の方向で退院調整が進んでいたため、医療従事者が家族や施設に連絡しカンファレンスを行うことなく家族の希望する施設へ退院した。【考察】様々な要因でカンファレンスへの参加が困難となる患者がいたため、患者の体調に変化が生じた時やカンファレンスの前後などこまめに意思確認を行うことで早期から具体的な退院支援に繋げることができると考える。また、患者が意向の訴えを行えない場合には家族が患者から聞いていた意向についても話を聞く必要があると感じた。家族と患者の意向が異なる場合や家族が希望する退院先へ退院調整が進んでいる場合には、話し合いができるよう調整することが重要である。また退院後の生活について家族や患者と話をしていく中で、最終的な療養先が決まった後にも患者の思いを聞くことが不安の軽減や意向に沿った退院支援に繋がると考える。