第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター8群 疾病とともに暮らすことへの支援②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:千田 睦美

[ポスターM-8-2] 吸引を用いた口腔ケアの選択に関する実態調査

三浦 麻紀子, 島﨑 千瑳 (日本医科大学多摩永山病院)

Keywords:洗浄吸引、ケアの選択、口腔ケア

【抄録】
【目的】A 病棟は入院患者の約8 割が65 歳以上であり、約2割が吸引を用いた口腔ケアを実施している。しかしながら、清潔が保持されていない患者も散見される。そのため今回、口腔ケアに関するアセスメントにおいて看護師がどのような情報から吸引を用いた口腔ケアを選択しているのかを明らかにすることとした。【方法】データ収集期間:2021 年10 月~ 11 月、研究方法:質的記述的研究、研究対象:A 病棟看護師10 名(看護師長、看護係長、研究実践者、新入職者は除く)、データ収集・分析方法:インタビューガイドに沿い半構成的面接を実施。IC レコーダーの録音記録と面接メモから逐語録を作成した。文脈からコードを抽出したのち類似性に沿い分類しサブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。倫理的配慮:対象者に口頭と文書で説明し同意を得た。【結果】平均経験年数:7.8 年(範囲2 年~ 24 年)。分析の結果、《嚥下機能の低下》《身体の可動》《口腔ケアの理解》《外見》《嚥下訓練食の形態》《過去の口腔ケア状況》《看護観》《口腔ケアの経験》《口腔ケアの学習経験》の9 個のカテゴリー(《》)、28 個のサブカテゴリー(『』)、83 個のコードが抽出された。【考察】A 病棟の看護師は、嚥下中枢の障害や『咳嗽反射がある』ことなどから《嚥下機能の低下》を予見し、洗口水による誤嚥を起こすと想起し、含嗽できないため吸引を用いた口腔ケアを選択していると考えた。また、頸部や上肢の可動により口腔ケアの一連の動作ができないことや、口腔ケアの一連の動作が認識できないことで、含嗽ができないと想起し吸引を用いた口腔ケアを選択していると考えた。さらに、《過去の口腔ケア状況》では、看護師自身が患者の状態に適した口腔ケアを考えることなく吸引を用いた口腔ケアを選択していることも考えられた。これらのことから、口腔ケアの一連の動作のなかでも、患者自身で含嗽ができるのかという情報から吸引を用いた口腔ケアを選択していることが明らかとなった。そして、ケアの実践により全身状態の悪化などを懸念する『倫理的葛藤』などの《看護観》がケアの選択に影響を与えていると考えた。さらに、《口腔ケアの学習経験》では指導する看護師の知識や技術といった実践力に差があることが考えられ、指導する側の実践力を均一にできるよう支援していく必要があることが示唆された。