第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター8群 疾病とともに暮らすことへの支援②

2022年11月8日(火) 14:00 〜 15:00 ポスター会場 (国際展示場)

座長:千田 睦美

[ポスターM-8-4] 腹膜透析患者の入院中から退院後の不安軽減を目指した介入

安田 美由紀, 鴨崎 芽衣美, 柴田 敏子, 岡崎 美幸 (山口県済生会下関総合病院)

キーワード:腹膜透析、不安、患者指導

【抄録】
【目的】壮年期の腹膜透析患者の入院中から退院後の不安内容に焦点を当て、患者指導を行い、患者の思いの変化を明らかにする事で、今後の看護について検討した。【方法】期間:令和X 年7 月~ X+1 年7 月。対象:PD を導入した50 歳代男性。仕事の都合上、PD を選択したため、入院中に退院後の生活を見据えた指導を行った。研究方法:入院中、退院後3 日目、退院後半年に約30 分の半構成的面接を行い、面談は承諾を得てIC レコーダーに録音した。内容は、PD について、退院後の生活やサポート不足について、医療体制のフォローに関する不安について質問をした。分析の方法は、インタビュー内容からそれぞれ逐語録を作成し、質的統合法で行った。所属施設の倫理委員会の承諾を得て、参加は自由意思であり、プライバシー保護や不利益が生じないことを説明し同意を得た。【結果】78 枚のラベルから8 段階のグループ編成を経て、9 枚の患者の不安と思いのラベルを抽出し、シンボルマークとして表現した。入院中は「治療イメージができず今後の見通しへの不安」「出口部感染により入院が長期化することでの不安」を認めた。退院後3 日目は「治療環境の変化への不安と適応」筋力低下による「退院後の身体の変化」「生活リズムに合わせた治療時間の変更」の3 つが抽出された。退院後半年は「体調不良時の対処方法への不安」「飲水制限の自己管理不足」を認め、生活指導を行ったことにより「症状出現時の行動変容、迅速な連絡と相談」が抽出された。これらの思いの変化の基盤として、「父親役割遂行への不安、PD と仕事を続けられるか」が抽出された。【考察】入院中は、治療について認識のズレがないかを確認し、治療経過を説明する必要があった。退院後3 日目は、入院中から自宅の構造や家族背景などを把握し、退院後の生活を見据えてPD 指導をしたことで、自宅での治療をイメージすることができ身体的変化や治療環境に適応できたと考える。退院後半年は、壮年期の特徴である仕事を優先せざるを得ない状況を理解した上で、患者の日常生活について振り返りを行った。その結果、症状出現時の行動変容が見られ、迅速な連絡と相談ができるようになったと考える。今後新たな問題が出現した時に、父親としての役割遂行や安定した療養生活が行えるよう、退院後も定期的に電話や面談を行い、外来との連携を密にして情報提供することが重要である。