第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター8群 疾病とともに暮らすことへの支援②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:千田 睦美

[ポスターM-8-6] 看護単位における目標管理の有無別にみた認知症高齢者に対する看護実践力

-急性期病院の病棟看護管理者の認識から-

北野 久美子1, 竹田 恵子2, 實金 栄3, 上野 瑞子2, 小薮 智子2, 松田 美鈴 2, 井上 かおり3, 村松 百合香4 (1.川崎医科大学附属病院, 2.川崎医療福祉大学保健看護学部保健看護学科, 3.岡山県立大学保健福祉学部看護学科, 4.岡山医療センター)

Keywords:急性期病院、認知症高齢者、目標管理、看護実践力

【抄録】
【目的】病棟看護管理者の所属する看護単位における,認知症ケアに関連した目標管理の有無に着目し,病棟看護管理者が認識する自部署の認知症高齢者への看護実践力の違いを明らかにする.【方法】無作為抽出した200 床以上の急性期病院400 施設のうち協力の得られた186 施設の病棟看護管理者1,205 人を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した.調査期間は2021 年9 月~ 10 月.質問内容は,認知症ケアに関する目標管理の有無,看護管理者が認識している自部署の看護実践力である.看護実践力の評価には,鈴木らの「認知症高齢者に対する看護実践自己評価尺度」(4 因子)を用いた.目標管理の有無による看護実践力の違いを,看護実践評価尺度の総得点および下位尺度得点についてMann-Whitny’s U検定を用いて検討した.有意差はp < 0.05 とした.倫理的配慮:本研究は所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号21-049).【結果】回答は727 人から回収され,うち同意があり,欠損値のない374 人を分析対象とした.目標管理あり群は110 人(29.4%),なし群は264 人(70.6%)であった.目標管理あり群は,看護実践評価尺度の総得点の平均が 87.32( SD ± 10.20) 点で,なし群の平均点83.79( SD ±11.23) 点に比べ,有意に高かった.さらに,看護実践力の下位尺度得点の比較では目標管理あり群は,なし群に比べ「認知機能と本人に合わせた独自性のあるケア」,「起こりうる問題を予測した社会心理的アプローチを含めたケア」の2 因子において有意に高かった.【考察】病院機能評価の中で「目標管理」という言葉が明確に示されたことを契機に,「目標管理」が看護師個人のみならずチームとしての良い看護の提供に繋がるとされている.本研究の結果からも目標管理の有用性が示された.認知症ケアの看護実践力のさらなるボトムアップにつなげるためには,病棟看護管理者が目標管理に認知症ケアを盛り込み,病棟運営をする必要性が示唆された.本研究はJSPS 科研費(20K10704)の助成を受けて実施した.