第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演10群 看護教育~基礎教育①~

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場4 (102)

座長:西村 宣子

[口演M-10-4] 看護学生の災害自己効力感と主観的職業威信との関連

井ノ上 ルミ子 (大阪警察病院看護専門学校)

キーワード:看護学生、主観的職業威信、災害自己効力感

【抄録】
【目的】看護学生の災害自己効力感と主観的職業威信との関連を明らかにし、今後の示唆を得る。【方法】2020 年11 月、A 校3 学年245 名を対象に災害自己効力感尺度と主観的職業威信(天職観尺度・職業使命感尺度)を用いた質問紙調査をした。災害自己効力感と主観的職業威信を探る為因子分析を実施した。主観的職業威信が災害自己効力感に及ぼす影響を知る為に天職観と職業使命感それぞれを基準変数とし、災害自己効力感を説明変数とする強制投入法による重回帰分析を行った。災害自己効力感の学年差を知る為に分散分析を行った。調査は研究目的、調査内容、倫理的配慮を説明し協力を依頼した。協力は自由で参加の有無は成績と一切関係なく不利益がないこと、研究データは研究目的以外に使用しない等を説明し了解を得た。A 病院看護部倫理委員会の承認を得ている。【結果】213 名回収し、有効回答数188 名(1 年85 名、2 年58 名、3 年45 名)、有効回答率88.3%だった。災害自己効力感の第1 因子は災害の様な緊急事態でも落ち着いて行動できると思う等から自己対応能力、第2 因子は災害時頼りにできる知り合いが多いと思う等から対人資源活用力と命名した。主観的職業威信を構成する職業使命感の第1 因子は自分で納得のいく働きができるかどうか等から満足、第2 因子は職業が人から感謝されるか等から貢献と命名した。天職観の第1 因子は職業に人生を捧げている等から適職感、第2 因子はこの職業に不向き等から不適職感と命名した。重回帰分析の結果、適職感から自己対応能力への標準偏回帰係数は5%水準で有意だった。さらに満足と適職感から対人資源活用力への標準偏回帰係数は前者が1%水準、後者は5%水準で有意だった。災害自己効力感と学年に有意差はなかった。【考察】災害自己効力感は自己対応能力と対人資源活用力で構成していた。主観的職業威信は職業使命感である満足と貢献、天職観である適職感と不適職感で構成していた。天職観の適職感が高い程、災害自己効力感の自己対応能力と対人資源活用力が高く、職業使命感の満足が高い程、対人資源活用力が高い傾向にあった。つまり、学生の災害自己効力感は職業の社会への貢献よりも、職業への適合性や充実感が影響すると言える。災害自己効力感に学年差がないことから、3 年間で学生の看護の職業価値や充実感を高めるキャリア支援の重要性が明らかになった。