第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演12群 看護教育~教育方法~

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 口演会場4 (102)

座長:木下 千鶴

[口演M-12-1] 弾性包帯の圧迫療法における有効な技術習得に向けての取り組み

-指導体制の検討-

吉田 帆乃香1, 木村 ひより1, 平田 健二1, 平岡 玲子2 (1.大和高田市立病院, 2.順天堂大学保健看護学部)

キーワード:弾性包帯、圧迫圧、圧迫療法、指導体制、技術指導

【抄録】
【目的】圧迫療法に関する看護師研修後の知識・技術を明らかにし技術指導体制の示唆を得る。【方法】対象者は、経験年数に考慮した14 名を選出し、プライバシーに配慮し個室で個別に実施した。①圧迫療法に関する知識、意識についてアンケートを実施②アンケート結果から圧迫療法についての知識、弾性包帯の巻き方など技術指導を踏まえた実践的な勉強会の実施③勉強会実施前、勉強会から1、2、4、7 週間後に技術調査を実施し、圧迫圧推移について一元配置分散分析を行い圧迫圧基準値(20mmHg を基準値)と比較④初回同様のアンケートを技術調査終了後に実施し知識や意識変容の比較⑤弾性包帯1回使用毎の伸びを測定し平均値を算出した。【結果】アンケート調査回収率は勉強会実施前100%、技術調査終了後は93% であった。圧迫療法に関する知識、意識について、経験年数の違いはみられなかった。技術調査の結果より、実践的な勉強会実施前の圧迫圧平均値18.5mmHg、勉強会実施1 週間後20.7mmHg、2 週間後24.5mmHg、4 週間後20.3mmHg、7 週間後17.7mmHg であった。圧迫圧平均値を一元配置分散分析の列間変動で見た結果、p 値0.015 であり有意差がみられた。アンケート調査では、圧迫圧の正常値を知っているのは21.4%、圧迫圧を意識して弾性包帯を巻き上げているのは57.1%であったが、技術調査終了後には両者とも100%となった。弾性包帯の長さは1 回使用毎に平均2.5cm 伸び、技術調査終了時には平均10.2cm の伸びがあった。調査終了後に「思っていたより伸びていた」と意見があった。【考察】勉強会・技術調査を実施することで適正な圧迫圧を理解し意識して圧迫療法を実施できていた。しかし、圧迫圧平均値に有意差がみられ、2 週間後の圧迫圧が最も高いことから、弾性包帯の伸縮度が変化したこと、伸縮度の変化に気づかず同じ感覚で巻き上げたことが要因と考えられる。また、伸縮度の変化により一定の適切な圧迫圧の維持が難しいことが明らかになった。指導体制として、初回に圧迫療法に関する知識伝達、技術指導を含む実践的な勉強会を実施し、圧迫圧基準値に差が生じた2 週間後に再度技術指導の介入が有効であると考えた。知識伝達、技術指導の実施、弾性包帯使用回数のルール化を行うことで適切な圧迫療法を実施できることが示唆された。