第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演12群 看護教育~教育方法~

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 口演会場4 (102)

座長:木下 千鶴

[口演M-12-2] 回復期リハビリテーション病棟での予防的スキンケアの標準化への取り組み

柳瀬 奈津子1, 上野 栄一2, 岩本 妙子1, 加野 亜莉沙1, 土井 早希子1, 坂本 絵梨香1, 柳澤 菜々1 (1.富山県リハビリテーション病院・こども支援センター, 2.奈良学園大学保健医療学部看護学科)

キーワード:予防的スキンケア、保湿剤、ドライスキン

【抄録】
【目的】加齢によりドライスキンになると、角質層に細菌が侵入し感染のリスクが高まる。A病院B回復期病棟(以下B病棟)は70%以上が高齢者で、ドライスキンのリスクが高い患者が多く、皮膚に異常が発生して皮膚科受診するケースがある。その原因として、看護師の行う予防的スキンケアが十分でないのではないかと考えた。そこでB 病棟看護師の行うスキンケアの現状を調査し、予防的スキンケアの標準化に向けて取り組んだ。【方法】B 病棟で勤務する看護師22 名を対象に質問紙調査法を用い、患者へのスキンケアの実施状況についてアンケートを実施した。その結果を踏まえ、予防的スキンケアに関する勉強会を実施し、再度アンケートを実施し勉強会の効果を調査した。加えて保湿剤選択のフローチャートと患者・家族にスキンケアの必要性を説明するパンフレットを作成した。対象者に研究の主旨、研究結果の公表、データは個人を特定できないこと、拒否可能であること、データは本研究以外使用しないことを文書で説明し承諾を得た。【結果】介入前のアンケートでは、対象者全員がスキンケアを実施できていると回答した。しかし、スキンケアの知識に関する設問では、ドライスキンの原因は平均67%、保湿剤の適正使用量は平均14%の正答率となり、適切なスキンケア知識の不足が明らかとなった。また、保湿剤の提案をしている72%で、その中で入院早期の保湿剤の提案が23%と少なかった。保湿剤を提案できていない理由としては、保湿剤の提案方法が分からないが80%と、提案方法が確立していないことも明らかとなった。そこで、予防的スキンケアの標準化を目的として、対象者に皮膚のアセスメント方法や保湿剤に関する勉強会を行った。また、保湿剤選択のフローチャートと患者家族向けのパンフレットを作成し、活用方法を説明した。介入後のアンケートでは、ドライスキンの原因は平均67%から87%へ、保湿剤の適正使用量は平均14%から36%へ増加し、スキンケア知識が向上した。また、保湿剤提案のタイミングは入院時23%から50%へ増加した。【考察】予防的スキンケアの勉強会を行うことで対象者の意識が高まり、スキンケア知識の向上と早期からのスキンケア介入に繋がったと考える。さらに、フローチャートとパンフレットは予防的スキンケアの標準化の一助となり、活用を継続することで患者の皮膚状態の改善に繋がると予測する。