第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演13群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場5 (103)

座長:山田 仁映

[口演M-13-1] 血液内科病棟の看護師が抱えるAYA 世代がん患者との関りに対する困難感

中川 陽子, 鈴木 かおり (静岡県立病院機構)

Keywords:血液内科、困難感、AYA 世代がん患者

【抄録】
【目的】病棟看護師が血液内科のAYA 世代がん患者との関りに対して、どのような困難感を抱いているのか明らかにし、今後のよりよい看護援助について看護の示唆を得る。【方法】研究実施施設で血液内科病棟勤務2 年目以上、血液内科のAYA 世代がん患者の受け持ちをしたことがある常勤看護師を対象に半構成的面接を行った。面接で得られたデータから逐語録を作成し、質的帰納的に分析した。倫理的配慮として、研究実施施設の臨床研究倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】研究参加者は20 ~ 40 歳代(平均33.3 ± 14歳)、看護師経験年数4 ~ 25 年(平均12.5 ± 12.5 年)の女性11 名。324 のコードから、24 のサブカテゴリーが抽出された。最終的には《AYA 世代がん患者に対して感じるつらい心情》《AYA 世代がん患者とのコミュニケーションが困難》《AYA 世代がん患者と良好な信頼関係を築くことが難しい》《AYA 世代がん患者の希望に添えず無力感を抱く》《死に差し迫った時の感情に寄り添うことの困難》《血液疾患特有の環境、治療経過に伴う困難》《AYA 世代がん患者の家族の思いをくみ関ることが困難》の7 カテゴリーに分類された。【考察】病棟看護師は自分に近いAYA 世代にある血液内科のがん患者に対して、自分と比較し共感する上で悲観や同情がおこり、つらい感情を抱いていた。そして、AYA 世代がん患者は、発達段階により言語化が未熟である場合があり、病棟看護師は声かけに戸惑ったり、何を話せばいいか悩んだりとコミュニケーションが取りにくいと感じていた。また、AYA 世代というだけで緊張し身構えてしまう、患者の個別性が大きく捉えづらいことや、看護師によっては、経験不足による自信のなさから信頼関係を築くことが難しいと感じていた。さらには、AYA 世代という一般的には死から遠いとされる世代に、血液疾患により死に差し迫った時の感情に寄り添うことの難しさや、患者の希望に添えずに無力感を抱いたりすることが明らかとなった。AYA 世代がん患者に対する家族の思いは強く、家族への関りに対しても困難と感じていることがわかった。これらから、心身共に危機的状況にある血液疾患のAYA 世代がん患者対して、状況や発達課題に合わせた介入についての学習やプログラムの必要性が示唆された。