第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演13群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場5 (103)

座長:山田 仁映

[口演M-13-4] 化学療法を受ける患者の副作用に対する日常のセルフケアと看護師の役割

野坂 里緒, 酒井 裕子, 木村 澪 (福井赤十字病院)

キーワード:化学療法、副作用、セルフケア

【抄録】
【目的】がん化学療法を受けている患者を対象として、患者の副作用に対してどのようにセルフケアをしているのかを把握し、今後の病棟での看護や指導内容を検討する。【方法】対象者は入院し化学療法を繰り返し受けている患者5 名。書面で同意を得られた者に対し半構造的面接を行い、IC レコーダーに録音し逐語録に起こした。録音データは研究後削除した。質問内容は「1出現している症状2症状や副作用で困っていること3症状や副作用に対するセルフケア行動4支援者の有無5過去に受けたことがある看護師からの指導6看護師への要望」である。日常生活への影響や出現している副作用、症状に対する思い、セルフケアの部分を取り出しコード化した。倫理委員会の承認を得た上で、本研究に参加することで不利益が生じることは一切ないことを説明し、同意を得た。【結果】対象者は50 代から80 代の男性4 名、女性1名。日常生活に影響している副作用について[無理にでも栄養摂取を試みることによるジレンマ][最低限度の日常生活動作を行う困難さ][身体的イメージの損失][生活の再構築への心理的負担][今までの役割を果たせない喪失感]の5のカテゴリが抽出された。[無理にでも栄養摂取を試みることによるジレンマ]には<食欲不振により食べられなくなった><味覚障害により食事への楽しみがなくなる>のサブカテゴリがあり、ストレスやジレンマを抱えていた。また<仕事がしたくてもできない><家事がしたくてもできない>という不安を感じていた。副作用に対する日常のセルフケアについて[自分の身体と向き合い食事を選ぶ][副作用を自分なりに対処する][病気の理解を深め受け入れる][今までの自分の生活を守る]の4 のカテゴリが抽出された。【考察】対象者は食事に関するストレスやジレンマを抱えていたため、看護師は少しでもそれらを解消できるような関わりが必要。対象者のセルフケア能力を見極め、どのようなセルフケア行動をとっているのか確認し指導を行うことが必要。また、対象者は自分に合ったセルフケア行動をしていたが、今後生活が維持できなくなる可能性もあり不安を抱えていた。退院後の生活を見据えて医療ソーシャルワーカーとの連携を行うことが必要。看護師は、家庭内や社会的役があることを理解し、心理的・社会的支援を行う必要がある。