第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演13群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場5 (103)

座長:山田 仁映

[口演M-13-5] 大腿骨頸部骨折術後患者の食事摂取量に影響を与えている要因

老松 裕美1, 大川 千恵1, 近藤 考朗1, 塚原 節子2 (1.北陸中央病院, 2.東京医療学院大学保健医療学部)

Keywords:大腿骨頸部骨折、術後、食事摂取不良

【抄録】
【目的】大腿骨頸部骨折術後患者の食事摂取不良に影響を与えている要因を明らかにする。【方法】A 病院に入院した大腿骨頸部骨折術後患者102 名を対象に、年齢、BMI、入院前の介護認定の有無、入院前・術後3 日目・術後10 日目それぞれの移乗・食事・排泄動作の介助の有無などの身体機能に関する項目、さらに認知症高齢者の日常生活自立度判定基準(以降、認知症自立度)3以上の有無など認知機能に関する項目について看護記録等よりデータ収集した。本研究では食事摂取量が7 割以下を食事摂取不良と定義した。分析は対象を食事摂取良好群と不良群に分け、X2検定、t 検定を行った。有意差はP < 0.05 とした。データは鍵のかかる場所に保管しA 病院倫理委員会での承認後に実施した。【結果】対象者102 名の平均年齢は84 歳で、そのうち食事摂取良好群は73 名、食事摂取不良群は27 名、2 名は不明であった。t検定の結果、食事摂取良好群と不良群の平均年齢、BMI について有意差はみられなかった。X2検定の結果、食事摂取不良群の認知症自立度3以上の有無と術後10 日目の移乗・食事・排泄動作の介助の有無(p < 0.01)に有意差がみられた。入院前の移乗・食事・排泄動作の介助の有無や介護認定の有無では有意差はみられなかった。【考察】本研究結果から大腿骨頸部骨折の手術を受けた患者は認知症自立度が3以上の有無、術後10 日目の移乗・食事・排泄動作の介助の有無が食事摂取不良に関連していることが明らかとなった。酒井らは摂食嚥下サポートチーム介入症例で摂取困難の要因は年齢、基礎疾患(脳血管疾患、神経疾患、認知症)、身体機能、栄養状態が関連していると述べており、本研究結果と認知症や身体機能という点で類似する部分があった。しかし大腿骨頸部骨折に焦点を当てた研究はなく本研究の新規性であると考える。加えて術後10 日の移乗・食事・排泄動作の介助の有無で有意差がみられたことから離床が進んでいないことが食事摂取不良に影響している可能性がある。そのため、高齢者が手術を受けた際は術後の離床状態を把握し、看護師から離床へのアプローチが重要であると考える。また認知症日常生活自立度によっては自力摂取できるよう食事形態を検討し早期に栄養サポートチーム介入する必要があると考える。