口演14群 がんとともに暮らすことへの支援

[口演M-14-5] 乳がん患者のがん再発後からの人生における希望と葛藤

^○小池 由梨佳¹, 鈴木 祥子¹, 石川 由美子¹, 飯塚 愛¹, 大畑 美月¹, 平尾 仁美¹, 河島 光代² (1.浜松医科大学医学部附属病院, 2.浜松医科大学医学部看護学科)

Keywords:乳がん、再発、希望、葛藤

【抄録】
【目的】乳がんは女性に多い疾患であり、比較的若い年齢にも起こりやすいがんである。乳がんの再発時期は家庭や社会で重要な役割を担う時期であるため、患者自身が今後の人生について考え、どのように過ごしたいか希望を持つことは重要である。患者の希望に沿った生活を送っていくために、支援を行う医療者が今後の生活の希望について知ることは必要であると言える。そのため、乳がん患者ががん再発後からの人生をどのように考えているかを明らかにすることを目的とした。【方法】研究参加に同意を得られ、乳がんの再発と診断され外来通院している女性患者3 名を対象とし、非構成的面接にてデータを収集した。分析方法はGiorgi の科学的現象学的方法を基に、再発がわかった時の思い、希望や葛藤に関する語りに着目し、その内容を抽出した。その人の体験を経時的に構成し、個人の文脈に沿って体験の意味を解釈した。さらに、着眼した希望や葛藤などに関する語りの内容を、体験全体との関連で意味解釈しそれを表すテーマをつけた。本研究は、浜松医科大学臨床研究倫理委員会の承諾を得て実施した。対象者に研究目的や方法、参加や中断の自由、参加拒否により不利益のないこと、プライバシーの保護、匿名性の遵守、収集情報は研究目的以外に使用しないことについて文書を用いて説明し、同意書への署名をもって協力を得た。【結果】乳がん患者は、がん再発後からの人生について『病気や再発に対する思い』を巡らし、『治療と病状進行に対する不安』を抱きながらも『限りある時間に対する思い』や『社会的役割を果たす』ことで有意味に生きたいと望み、家族や友人、医療者による『周囲のサポート』を心の支えとしていく、5 つのテーマが導かれた。【考察】再発と診断された乳がん患者は、普段通りの日常を自分らしく生きたいと願う一方、将来に対する漠然とした不安の中、周囲からのサポートを心の支えにしながらも、家族のことを慮り心配や迷惑をかけたくないといった、希望や葛藤を抱きながら日々を送っていることが明らかとなった。そのため医療者は、患者の価値観を理解し、患者の現在の状況を把握した上で必要な情報提供や治療における副作用症状のマネジメントの指導などを行うこと、患者の思いを傾聴しながら患者が望む生活について理解を深め、患者が自己の役割を果たすことができるようサポートしていくことが大切であると考えられた。