第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

口演

口演16群 新型コロナウイルス感染症下の看護~面会制限下の患者・家族への対応~

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場6 (104)

座長:北野 貞

[口演M-16-3] 新型コロナウイルス感染症専門病棟における終末期患者のリモート面会に対する看護師の考えと今後の課題

藤谷 萌, 石井 志摩, 河野 加代子, 野瀬 美郷, 間中 麻衣子 (大阪市立十三市民病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、終末期、リモート面会、看護師、看取りケア

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)専門病棟における終末期患者のリモート面会に対する看護師の考えと今後の課題を明確にする。【方法】A 病院のCOVID-19 専門病棟の看護師85 名に、終末期患者のリモート面会について無記名自記式質問紙調査を実施した。リモート面会とは、終末期に専用タブレットで患者家族とビデオ通話する事とした。対象者に文書を用いて研究の説明をし、質問紙の回収をもって同意を得た。対象の属性(年齢・リモート面会の経験回数など)と、リモート面会に対する考え(有効性・容易性など)とその理由を調査した。対象の属性とリモート面会に対する考えとの関係はχ2検定を行い、理由は記述統計を行った。【結果】看護師85 名の内リモート面会経験者は72 名(84.7%)であった。リモート面会経験者は未経験者に比べて「有効性」が有意に高く(p=0.018)、「容易性」は有意に低かった(p=0.011)。リモート面会経験者で「有意性」ありと答えた者は72 名(100%)で、その理由は「患者の現状をリアルに伝えるため・IC のため」21 名(29.2%)、「患者のため」19名(26.4%)、「家族のため」17 名(23.6%)の順で多かった。リモート面会経験者で「容易性」なしと答えた者は49 名(68.1%)で、その理由は「家族への説明や準備に時間かかる」31 名(63.3%)、「操作方法がわからない」6 名(12.2%)、「マニュアルがない」5 名(10.2%)の順で多かった。また、リモート面会経験10 回以上は10 回未満と比べて「容易性」ありと答えた者が有意に多かった(p=0.044)。50 歳以上では50 歳未満に比べて「容易性」なしと答えた者が有意に多かった(p=0.044)。【考察】COVID-19 専門病棟の看護師は終末期患者のリモート面会に対して「有効性」を実感しているが、説明や準備に時間がかかる事や操作が予想以上に難しく、容易と感じるには経験回数を重ねる必要があるとわかった。特に50 歳以上は容易と感じにくく、タブレット操作は50 歳未満の者が行うなどの配慮が必要である。看護師にとってリモート面会が容易となれば、患者や家族のニーズに応じる事ができ、より良い看取りケアに繋がる。そのため、分かり易く手順を可視化する工夫や、入院時からタブレット登録をするなど事前準備が今後の課題である。