第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演16群 新型コロナウイルス感染症下の看護~面会制限下の患者・家族への対応~

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場6 (104)

座長:北野 貞

[口演M-16-5] 緩和ケア病棟におけるCOVID-19 感染対策での面会制限による家族への影響

武内 和代, 小林 香織, 安達 幸恵 (横浜甦生病院)

Keywords:緩和ケア、家族ケア、予期悲嘆

【抄録】
【目的】COVID-19 感染拡大による対策として面会制限が実施されている状況の中、緩和ケア病棟入院中の患者家族の、患者に対する思いや看護師の患者・家族に対する関わりについてどのように感じていたかを調査し、今後の家族ケアに活かす示唆を得る。【方法】緩和ケア病棟で死亡退院となった患者家族53 名に自記式調査紙を送付した。調査項目については7 項目の質問項目に複数選択肢(複数回答可)と自由回答とした。対象者には調査の目的、倫理的配慮について説明した文書を同封し、調査紙の返送を持って同意を得た。【結果】患者家族53 名のうち17 名より回答を得た。面会制限については「理解できる」14 名「やや理解できる」3 名だった。患者と十分に時間を過ごせたかについては「非常にそう思う」6 名「そう思う」6 名「ややそう思う」4 名「そう思わない」1 名だった。患者と面会できない間どのような気持ちになったかについて「心配・不安」10 名「寂しい」7 名「かわいそう」7 名「つらい」6 名「悔しい・後悔」4 名「安心」4 名「苦しい」3 名「落ち着く」1 名だった。不安や悲嘆をなどの思いを表出する場はあったかについて「あった」6 名「なかった」7 名「」「わからない」3 名「未回答」1 名、そのうち誰に思いを表出したかについては「家族」5 名「医師・看護師」1 名「知人」1 名「その他」1 名であった。【考察】面会については、医師・看護師の予後予測をもとに面会頻度を決めており、医師による病状説明の際に患者・家族に説明し同意を得ている。予後週単位は毎日、予後不明(月単位以上)は2週間に1 回程度、2 親等以内2 名ずつの面会を許可している。COVID-19 による面会制限については大多数が理解され、その中でも患者と十分に時間が取れたとの結果が得られた。最期は面会制限を緩め共に過ごす時間を増やすことで、このような状況の中でも患者との時間を十分に過ごせたという実感につながったと考える。面会できない間の不安や悩みについては、終末期がん患者の家族の死への気づきに対する反応と合致しており、COVID-19 による面会制限以前との相違は大きくない。一方で不安や悲嘆などの思いを表出する場は少なく、特に医師・看護師が家族と関わる時間が減少していることが影響していると考える。限られた場所・時間の中、家族との時間を作り介入していく方法を模索し提供していく必要がある。