第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演17群 新型コロナウイルス感染症下の看護~感染対策~

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場6 (104)

座長:髙橋 初枝

[口演M-17-4] 短期の異動による学びを活かした業務改善の報告

井上 佳央理, 青山 理絵, 立松 あき, 久米 夕香子, 木下 美穂 (日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院)

Keywords:COVID-19、部署異動、業務改善

【抄録】
【目的】A 病院ではCOVID-19 患者の受入れ体制を整えるため、40 日間B 病棟を閉鎖し、看護師25 名が8 つの病棟へ短期部署異動することで人材を確保した。異動後にアンケートを実施し、得られた学びを活かした業務改善を行ったため報告する。本研究に際してA 病院看護研究倫理委員会の承認を得た。【方法】異動終了後の25 名を対象に、異動先のよかったところ・B 病棟でも取り入れたいこと・離れたから気づいたB 病棟の魅力の3つで構成したアンケートを無記名・自由記載で実施した。リーダー業務を担うスタッフが、B 病棟での必要性を考えた業務改善内容を検討した。【結果】アンケート回収率は100% であった。自部署をよりよくしたい・自分の居場所があることの大切さに改めて気づいたという意見が多かった。これを受け、1)リシャッフルを通したパートナーシップ・ナーシング・システムの強化、2)時間外業務の短縮を目的としたリーダー間引継ぎの簡略化、3)危険予知トレーニング(以下KYT)を導入した。1)従来、残務はリーダーへ口頭で報告していたが、他病棟の付箋に書き出す方法を取り入れた。視覚的に把握・共有し、残務に偏りが出ないように改善したことで、チーム内で解決しなければならないという考えから、チームを超えて協力し合うという変化が見られた。2)リーダー間の引継ぎに30 分前後を要していたため、必須申し送り項目を可視化して掲示するという方法へ変更した。そして、個が得た情報はペアで、ペアで得た情報はチームで、チームで得た情報はリーダーへ情報共有することを強化した。その結果、適時情報共有する意識が持てるようになり、引継ぎを事由とした時間外業務が減少した。3)メンバーが日常に潜むリスクに気付く力を養うため、他病棟で行っていたKYT を週に1 回行った。KYT 導入後、経験年数の浅いスタッフからは「初めて話し合いに参加できている実感が持てた」等の意見があり、危機管理の意識を持つだけでなく、意見を出し合える場にもなった。【考察】異動経験は、自部署のやり方が全てではないことを知ると共に、自分の大切な居場所をより良くしたいという前向きな気持ちを生み出した。同時にそれが原動力となり、業務改善に取り組むことができたと考える。業務改善の取り組みの中で、チームのコミュニケーションが活発化したことは、本実践の副次的効果であった。