第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演18群 新型コロナウイルス感染症下の看護~変化する患者・家族のニーズへの対応~

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場6 (104)

座長:皆本 美喜

[口演M-18-1] 新型コロナウイルス感染拡大により患者とその家族に実施したオンラインによる面会の効果

廣瀬 京子1, 本田 可奈子2, 山本 寛1, 前田 輝子1, 松永 洋祐1, 伊丹 君和2, 米田 照美2, 千田 美紀子2 (1.甲南病院, 2.滋賀県立大学人間看護学部)

Keywords:オンライン面会、新型コロナウイルス感染、面会の効果

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス感染拡大により医療施設では入院患者への面会規制を行っている。A 病院では面会規制を実施する一方でオンラインによる面会(以後オンライン面会)を実施した。本研究はオンライン面会後の患者の心身とその家族の心理への影響を明らかにしその効果を考察することを目的とした。【方法】2 つの調査を行った。第1 に自記式質問紙法で対象者は2021 年7 月から10 月にA 病院でオンライン面会を実施した入院患者180 人とその家族180人である。患者はその内会話及び座位が可能な28 人に実施した。質問内容はオンライン面会前後に「感じたこと」と前後の「気持ちの変化」で分析はデータマイニング法を用いテキストデータを名詞・動詞・形容詞・形容動詞を係り受け分析により抽出しカテゴリを生成後主成分分析にてカテゴリの関係を検討した。分析ソフトはIBM SPSS TAFS 4.0、Statistics 25 を用いた。第2 に唾液中のストレスマーカー・コルチゾール測定による調査で2020 年12 月から2021 年10 月の期間でオンライン面会をした患者の中で会話及び座位が可能な入院患者44 人に対して唾液採取が出来た患者28 人に測定した。うち7 名は第1調査に参加しておらず28 人の質問紙の結果との関連はみていない。本研究はA 病院倫理審査委員会の承認を得て実施し、対象者には口頭と文書で説明し書面により同意を得、データの匿名性と守秘を遵守した。【結果】質問紙法の参加者は患者22 人(回収率12.2%)家族172 人(回収率95.5%)であった。第1 調査の結果、患者と家族共にオンライン面会後は「顔」「話す」「よかった」のカテゴリが、気持ちの変化では「安心」「よかった」を中心としたカテゴリが得られた。主成分分析では家族のデータのみ行え、オンライン面会後は「顔を見て話したことの安心」「さらに直接に会いたいという欲求」の因子が、気持ちの変化では「安心」「不安」「反応がわかる」の因子が得られた。第2 調査では有効検体は20 人でオンライン面会直前0.57 ± 0.06 μ g/dl、直後0.61 ± 0.07 μ g/dl(平均値±標準誤差)でt 検定では有意差を認めなかった。【考察】今回身体への影響は明らかにならなかった。心理面ではオンライン面会は「顔を見て話すこと」が「心の安定」に繫がり一時的でも患者とその家族に安心感を提供したといえる。