第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演18群 新型コロナウイルス感染症下の看護~変化する患者・家族のニーズへの対応~

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM 口演会場6 (104)

座長:皆本 美喜

[口演M-18-5] 診療所における発熱外来から見えてきた看護師の役割とは

-自宅療養の電話フォローを通して-

野田 由貴子 (耳原鳳クリニック)

Keywords:地域看護、発熱外来、地域連携、電話フォロー、コミュニティナース

【抄録】
【目的】新型コロナウィルス感染症が世界中で猛威をふるっている中、A 診療所の地域連携をベースに看護師たちが、新型コロナウィルス感染症で自宅療養中の患者を適切な治療に繋ぐとともに、患者および患者家族の不安の軽減に努める。【方法】期間:2021 年5月から2022 年2 月。対象者:発熱外来で新型コロナウィルス感染症と診断された中で重症化リスクがある患者。方法:看護師が電話でフォローする。聞き取り内容は、①患者の状態把握、②不安の傾聴、③抗コロナウィルス症薬の副作用などに対し、必要な助言を行う。その内容は、電子カルテ上の看護記録に記載し、看護師、医師と共有し課題を整理し対策を講じる。また診療所からのお知らせなどを情報提供する。聞き取り内容は、電子カルテで保管し、発表では個人が特定されないように配慮する旨A 診療所の管理会議で承認を得た。【結果】8ヶ月間で、電話回数は、のべ438 回。聞き取る中で、患者は自身の状態報告以外にも、自宅待機期間について、家族との隔離の仕方、家族が感染した時にどうすればいいかなど多くの質問があった。それら一つ一つに対応し、患者からは、電話の中で安心した様子や感謝の声が数々あがった。また、受診時には、状態が安定していたが、帰宅後、呼吸器症状や高熱がでてきたと訴えた者も数名いた。医師と相談し、電話再診で処方を発行し、処方配送には0410 対応を活用した。酸素飽和度低下など状態悪化時には、A 診療所が臨時往診し行政へ連絡、入院へ繋いだ。そして、この期間中に行政が送付するパルスオキシメーターの貸与にかかる時間が、課題としてあがったため、行政に働きかけ、行政の貸与するパルスオキシメーターをA 診療所で預かり、A 診療所から直接患者へ貸与できた。その貸与にかかる時間は、行政から貸与する場合は、平均2・3 日費やしていたが、A 診療所から貸与することで、診断当日に貸与することができ、時間短縮できた。そのため、患者の状態を迅速に評価でき、不安の軽減につながった。【考察】自宅待機という孤独の中、電話フォローすることで、患者を適切な治療に繋ぐことができ、患者および患者家族の安心にもつながったと考える。また地域において看護師が行政等関係機関と連携することで地域と患者を繋ぐコミュニティナースという重要な役割を担ったと考える。今後も地域に根ざす診療所看護師として、地域連携を発展させていきたい。