第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演19群 看護職の業務に対する困難感①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場7 (105)

座長:梅内 美保子

[口演M-19-2] 終末期にある間質性肺炎患者の看護場面で生じる困難感やジレンマ

後藤 光子1, 田村 拓巳1, 高橋 里帆1, 小林 恵子2 (1.佐渡総合病院, 2.新潟大学大学院保健学研究科)

Keywords:終末期、ジレンマ、間質性肺炎

【抄録】
【目的】終末期にある間質性肺炎患者の看護場面において、看護師は患者の思いを尊重するという気持ちと、患者の思いを尊重することで生じる二次障害を予防したいという気持ちとの間でジレンマを感じていた。そこで、終末期にある間質性肺炎患者の看護場面で、看護師がどのような困難感やジレンマを抱いているかを明らかにする事を目的に本研究に取り組んだ。【方法】研究対象:A 病院B 病棟の間質性肺炎患者を受け持った経験がある看護師16 名。データ収集方法:インタビューガイドを用いた半構造化面接を実施。研究期間:20XX 年12 月~ 20XX 年2 月。分析方法:面談した内容から逐語録を作成した。終末期にある間質性肺炎患者の看護場面で生じる困難感やジレンマに関する部分を抽出後、同様の意味を持つものに分類し、カテゴリー化した。倫理的配慮:研究対象者に、研究の目的、方法、プライバシーの保護、研究参加は自由意思であることを書面と口頭で説明し同意を得た。また、所属施設の倫理委員会で承認を得た。【結果】対象看護師16 名の経験年数は1 年目~ 38 年目であった。看護師が抱く困難感やジレンマは19 のコード、12 の≪サブカテゴリー≫、3 つの<カテゴリー>に分類された。≪医師から指示がもらえない≫≪医師によって苦痛の緩和に対する判断が違う≫ことからは、<医師との連携・協働の仕方>について困難を感じていた。また、≪酸素の必要性を理解してもらえない≫≪終末期の状態であっても自分が終末期だと考えられない≫ことからは、<患者-看護師間での認識のズレ>について、≪労作時の呼吸困難感が強いためケアの工夫が難しい≫≪酸素マスクを外せない状況での排泄や食事のケアの方法に迷う≫ことからは、<患者ケアに関すること>についてジレンマを抱えていた。【考察】今回の研究で看護師は看護場面の中で患者の思いを尊重したいができない現状があり、患者・家族にとって最善の方法を模索している中で困難感やジレンマを感じていることがわかった。B 病棟では、看護師が抱く困難感やジレンマについて、倫理的問題に対するカンファレンスなどで語り合うことができていない現状である。今後、困難感やジレンマを抱いた時に、意図的に互いの感情や思考について語ることができるようなカンファレンスの機会を作ることが必要だと考える。