第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演2群 外来における療養支援

2022年11月8日(火) 14:00 〜 15:00 口演会場1 (302)

座長:相馬 泰子

[口演M-2-3] 腹膜透析患者の支援体制構築への取り組み

-入院前から退院後の継続看護を目指して-

吉川 有紀, 松下 純子, 恩田 亜希子 (帝京大学ちば総合医療センター)

キーワード:腹膜透析、自己管理指導、腹膜透析関連感染、腹膜炎

【抄録】
【目的】腹膜透析は在宅管理のため自己管理不足により腹膜透析関連感染の発症や状態悪化の可能性がある。予防には自己管理指導が重要であり、看護師の専門的知識と技術、統一した指導力が求められる。入院前から退院後の継続した支援体制が必要であると考え、患者・家族が安全に安心して腹膜透析管理が出来る事を目的に支援体制構築へ取り組んだ。【方法】研究期間:2020 年1 月~ 2021 年11 月。期間中に腹膜透析を導入した患者データ(年齢、入院日数、指導日数、腹膜炎発症の有無)と過去データを比較。教育介入として医師より腹膜透析の概要、管理について勉強会を実施。指導が自立している看護師が指導内容の見直しを行い、卒1 ~卒3 年目と異動者の計17 名へ説明。入院前、退院後の専門外来へ病棟看護師が介入し説明、アンケート調査を実施。【結果】腹膜炎発症率は2017 年100%、2018 年30%、2019 年15%、2020 年28%、2021 年11 月時点で0%であった。指導日数は2017 年27.3 日、2018 年26.1 日、2019 年20.1 日、2021 年9.95 日であった。2021 年の50 代以下の平均入院日数21 日、指導日数7.6 日、60 代以上の平均入院日数18.1 日、指導日数12.2 日であった。専門外来受診後に腹膜透析を導入した患者は5 名である。患者からは腹膜透析のイメージが出来た、自宅での生活や手技への不安が軽減できたとの意見が聞かれた。看護師からは入院前に患者の理解度や家族の協力体制などを知ることが出来たとの意見が聞かれた。【考察】A 病棟は卒後1年目から3 年目の看護師が48.3%を占めており、専門的知識に基づく統一した指導が不十分である要因と考える。役割を分担し情報共有しながら患者の支援体制を構築したことで、腹膜炎の減少や指導日数の減少に繋げることができた。60 代以上は指導や手技習得に時間を要したが、外来で得た情報を共有し早期に家族指導を行えたことで、入院日数は年代に差はなく、入院前から入院中の継続した看護が行われたと考える。専門外来での看護介入により、入院後の患者・家族指導がスムーズとなり、生活環境から感染リスク因子となる情報を得て個別的指導を行ったことも腹膜炎の減少に繋がったと考える。退院後はさまざまなトラブルが予測される。昼夜問わず病棟看護師が介入できる体制と看護師教育が必要であることが示唆された。