第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演20群 看護職の業務に対する困難感②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場7 (105)

座長:眞嶋 朋子

[口演M-20-1] 小規模病院における臨床看護師の看護研究への困難感に影響を与える要因とその支援対策

齋藤 砂織, 林 孝枝, 相内 千枝, 小栗 久恵, 山本 昌衣子, 田邉 清美 (大網白里市立国保大網病院)

Keywords:看護研究、看護倫理、看護教育

【抄録】
【目的】小規模病院における臨床看護師の、看護研究に取り組む際の困難に影響を与えている要因を明らかにし、看護研究に取り組みやすい環境に必要な支援を考える。【方法】管理職を除く臨床看護師72 名を対象に質問1.「研究に取り組む際に困難を感じる」について5 段階評価で回答を得た。さらに2. 最終学歴 3. 経験年数 4. 時間的余裕がない 5. 適切な指導者がいない 6. ほかのスタッフの協力が得られにくい 7. 予算がなく経済的負担がある 8. 研究したいことが思いつかない 9. 研究として成り立つか分からない 10. 研究疑問を文章化することができない 11. 文献検索の方法が分からない 12. 欲しい文献が入手できない 13. 調査・分析の方法が分からない14. 発表の仕方が分からない 以上の質問を5 段階評価でアンケート調査を行った。質問1 を目的変数に、質問項目2-14を説明変数として、重回帰分析を用いて研究に取り組む際の困難感に影響を与える因子を統計解析した。統計解析ソフトはエクセル統計BellCurve を用いた。質問項目は加納らの先行研究(日赤看会誌2008;8:74-80)を参考に選定した。倫理的配慮として研究対象者の匿名性や個人情報保護を遵守し実施した。【結果】アンケートの回収率は86.1%(62 名)、うち有効回答数は58 名であった。有効回答58 を統計解析対象とし、重回帰分析の結果、「研究に取り組む際の困難感」に有意に影響を与える因子は、最終学歴(t 値3.05、P < 0.01)、経験年数(t 値3.33、P < 0.01)、予算がなく経済的負担がある(t 値2.09、P < 0.05)、欲しい文献が入手できない(t 値2.55、P < 0.05)であった。【考察】経験年数が少ないと、また学歴として准看護師養成機関、看護師養成機関(二年制)卒業者は困難感が強く、看護管理者・指導する看護師の積極的な支援が必要であることが判明した。「欲しい文献が入手できない」に関しては、2021 年12 月より医療の総合ウェブサイトが図書室に整備された。この活用により、困難感は軽減されると期待される。「予算がなく経済的負担がある」はその負担が具体的にどのようなものであるかの聞き取りを行い、改善を図ることを考えている。今回の分析結果をもとに、研究に取り組み易い環境の整備を病院管理職者と討議し、臨床看護師の看護研究の支援につなげたい。