第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演20群 看護職の業務に対する困難感②

2022年11月8日(火) 14:00 〜 15:00 口演会場7 (105)

座長:眞嶋 朋子

[口演M-20-4] 看護師のせん妄に対する意識調査

-勉強会とアセスメントシートの導入を行って-

有馬 奈月1, 堂迫 史子1, 沖田 恵2 (1.広島市立安佐市民病院, 2.リハビリ訪問看護ステーションのの花)

キーワード:せん妄、意識調査、DST、アセスメントシート、勉強会

【抄録】
【目的】せん妄患者の看護に対して、看護師に勉強会やアセスメントシートの導入を行うことで、看護師のせん妄に対する看護・意識の変化を明らかにする。【方法】A 病棟看護師41 名を対象に、質問用紙を用いてせん妄についての勉強会行った。2021 年6 月~ 9 月にA 病棟入院患者を対象にアセスメントシートを使用し、独自に作成したDelirium Screening Tool(せん妄スクリーニングツール:アメリカ精神医学会によるせん妄診断基準DSM-5 に則ったチェックリスト。以下DST)とを含めたせん妄のアセスメントシート(長谷川らの文献やせん妄発生因子を参考にA 病棟で作成したせん妄のアセスメントシート)を導入し、前後に同一内容でアンケートを実施した。導入前後で、看護師のせん妄に対する意識調査を比較した。研究対象者に本研究の趣旨を説明し、文章による同意を得た。【結果】DST について「知っている」「やや知っている」と回答した人は16 件から33 件に増加。せん妄発生の準備因子について「知っている」「やや知っている」と回答した人は29 件から40 件に増加。せん妄発生件数は2%減少。DST にてせん妄の可能性ありの判断となった際に、高齢者支援チームへ介入依頼をする必要性を提示した。その結果、導入前は介入件数11 件であったが、導入後は22 件と増加。せん妄患者について、不安や苦手意識が「ある」「ややある」と回答した人は38 件から33 件とやや減少したが、過半数が不安や苦手意識を感じている結果となった。その理由として、患者に合わせた対応方法が分からないという意見が多くあげられた。経験年数の少ない人は、アセスメントシートの導入後も、不安や苦手意識を感じている人の割合が多かった。【考察】勉強会の実施やアセスメントシートを使用することでせん妄への理解が深まり、せん妄発症因子を知ることでせん妄リスク状態への対応ができ看護師の意識・知識の向上に繋がると考えられた。また、知識を深めたことで、せん妄の関わりの選択肢は増え、せん妄に対する不安や苦手意識の軽減、せん妄の早期予防ケアの実践にも繋がったと考えられた。一方で、せん妄リスクを判断する意識は向上したが、せん妄の対応方法についても看護師は不安や苦手意識を感じていることが分かった。せん妄発症時の対応やアセスメント能力には、経験年数の差や知識の差があると推測された。